第69話 ゴブリンキング
イレギュラーだしロードとかキングの名前に勝手に脅威を感じてしまっていたけど、先輩の凜が俺に早く倒せって言うってことは、見掛け倒しでそこまでのモンスターじゃないってことだ。
“おい~あの奥のゴブリンキングなんじゃ”
“ゴブリンキング⁉”
“ロードの間違いじゃ?”
“ロードにしては風格が”
“王の風格”
“やばくない? 防衛機構の隊員消耗してきてるし、そもそもこの数で勝てるのか”
“10層でもロードが出るの稀。キングなんかもっと奥じゃないとお目にかかることない。なんで2層に”
“あれが原因なんじゃ”
“浅層でのイレギュラーエンカウント”
“珍しいことじゃないけどよりによって王種か”
「まずいですね。ここでゴブリンキングですか。あれは……修太朗さん?」
魔法を放ってるうちに休めたので大分息が整ってきた。
あの大きいの後ろのほうだし凜の言ってたように逃げられるとよくない。
凜も、俺で大丈夫だってお墨付きをくれたし、ここは一気に行った方がいいところだよな。
「ふ~っ、いきますか」
放出系の魔法でもいけそうな気もするけど結構距離もあるし確実にしとめるには剣の方がいいよな。
「古今東西の英霊よ、気高き、その力、その魂、その権能を我に示し、敵なるものを打ち倒す英知を授けたまえ『ギリスマティ』」
今日二回目の身体強化だけど、代謝が上がって血行が良くなるのか幾分残っていたお酒が再び来てる気もする。
ある意味、かるい酔拳状態だけど身体の切れに反して頭はぼ~っとしてくるので、二日酔い時にあまり多用するもんじゃないな。
ちょっと強そうなゴブリンを前に気合が入って魔力をちょっと多めに練り込んでしまったかもしれない。
そのせいかさっきより発光の輝度が高い気もする。
こんなに光ってたら目立って的になりそうで怖いな。
「りんたろ~⁉」
“オーラが立ち上ってる”
“なんだよあれ。違うマンガじゃないの”
“魔法っていうより気だろ気”
“気は漫画以外じゃ見えない”
“アニメでも見える”
的にされる前に倒さなきゃいけない。
足に力を込め前方へ駆ける。
身体強化には、結構慣れたつもりだったけど、妙に速く感じてしまう。
ぼ~っとするのに身体は素早く動き、剣もさっきより軽く感じる。
不思議な感覚。
これが酔剣か。
いや、やっぱり俺まだ酔ってるな。
モンスターとの戦闘中なのにくだらないダジャレを思いつくなんて。
その影響かモンスターの動きが止まったようにゆっくりと流れていく。
目の前の隙だらけのモンスターに向け剣を振るい斬り伏せ、ゴブリンロードかキングという上位種へと迫る。
近づくとわかるが、普通のゴブリン何匹分? というくらいに大きい。
ただその風貌はゴブリン種であることが一目でわかる。
ゴブリンがいくら大きくなっても所詮は大きいだけのゴブリンということだな。
「ガアアアアアアアアアア~」
ゴブリンの上位種は俺に気が付いたようで威嚇するように咆哮を上げる。
大気が振るえるかのように錯覚するほどの大声だけど、所詮はゴブリンそんな虚仮おどし怖くはない。
”まずいまずいまずい。キングの咆哮”
”何人か動きが止まった”
”強烈。いや、あのスーパー修太朗動けてる”
”あの距離でキングの咆哮浴びてなぜ動ける”
”それは修太朗だから”
”イケオジ最強”
”修様~”
”太郎~”
”名前変わってね?”
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