第67話 妖気
「古今東西の英霊よ、気高き、その力、その魂、その権能を我に示し、敵なるものを打ち倒す英知を授けたまえ『ギリスマティ』」
身体から濃緑の光が立ち上る。
「凜行こう」
「はいはい、休日出勤の恨みは晴らさないとね~」
2階層に着くとそこは戦場だった。
これまで潜ったことのある2階層とは明らかに異なる。
普通数匹でしか現れないはずのモンスターが溢れている。
しかも、2階層、3階層でも見たことのないモンスターも混じっている。
それを15名ほどの隊員が押しとどめていた。
よく見ると湊隊長もいる。
隊員に対しモンスターの数が多い。
駆け付けた後発隊を含めても数は圧倒的に押されている。
とにかく今は自分のできることをするしかない。
先発隊の横を抜け、モンスターへと迫り剣を振るい斬って落とす。
やはりこの剣はすごい。
見たことのないモンスターなのでおそらくは4階層より下層のモンスターだとは思うけどあっさりと断ち切れた。
まだ、お酒が抜けたわけではないので、力加減が微妙な気はするけど今は数を減らすことが先だ。
迫ってくるモンスターから順番に斬っていく。
“おわあっ、なんかすごいのきた”
“一人すごいペースでモンスター斬ってるやつがいる”
“なにあれ”
“救世主”
“あれは⁉ まさか修太朗様”
“修太朗? 有名人か?
“奇跡の大型新人”
“戦況が変わっていく。戦神”
俺はモンスターへと集中していたので全く気が付かなかったけど、先遣隊にカメラを身に付けた隊員がいたらしい。
一息つくとこちらにカメラのレンズが向いていた。
こんな時まで撮るのかとも思ったけど、これも仕事だし、歩合もつくのかもしれない。
「ふっ、はっ」
魔法の効果で驚くほど身体は軽い。ただ二日酔いのせいか息が上がる。
正直二日酔い状態でモンスターと戦うものではない。
“剣神降臨”
“ベテランエースか”
“ああ見えてデビューしたてのド新人”
“あんな新人おるはずないやろ。どう見てもオッサンやん”
“いや完全にイケオジ”
“なんか緑の妖気が立ち上ってるんだけど”
“せめて闘気だろ。妖気は草”
“きゃ~修様~“
「はぁ、はぁ、はぁ」
頑張って結構斬って消滅させたつもりだけど、まだ数が減った感は薄い。
倒したそばから奥からやってきたモンスターがこちらへと殺到してくる。
のどが渇く。
モンスターは順調に倒すことが出来ている。一匹倒すことにはそれほどの労力は使っていない。ただ問題は俺の体力だ。既に結構キツイ。
今までの運動不足がたたってる。
『ギリスマティ』により体力も強化されてはいるはずだけど、他のステータスの上昇に追いついてない感じか。
このままじゃ埒があかない。
いったん体力を回復するためにも魔法による攻撃に切り替えた方がいいな。
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