第54話 魔石

「隊長、どうにか上手くいきました」

「はい、ご苦労様でした。素晴らしいお手並みでした」

「ありがとうございます。恐縮です」

「花岡さん、私にはもっと気楽な感じで大丈夫ですよ」

「はい、ありがとうございます」

「隊長、今同接180万超えたみたいっすよ。本当に200万いくんじゃないっすか?」

「まあ、花岡さんですからね」

「たしかに。ていうか俺いります?」

「何言ってるんですか。大仁田さんのファンも熱いじゃないですか」

「なんでか俺のファンってマダムが多いイメージなんすよ」

「マダムキラーですね」

「別に殺してないですって」


まだ一回だけだからはっきりとしたことは言えないけどこの感じなら2階層も初級魔法で行けそうだ。

中級は使ったことないし、調整が上手くいくかちょっと不安ありなんだよな。


“おおっ『ウィンドスピア』連発”

“命中しまくってる”

“ウルフハウンドの動き無視”

“風姫よりもしかすごい?”

“いや、りんりんは可愛いから負けはない”

“そう可愛いは正義”

“イケオジも正義”

“イケオジずるい”

“やっぱ近接だけじゃなく放出系もやべーな”

“ウルフハウンド、今回は相手が悪かった”


ウルフハウンドがいたところを確認すると地面にキラキラしたものが落ちている。


「何か落ちてますね」

「ああ、魔石です」

「これが魔石ですか。宝石みたいですね」

「まあ、ある意味宝石より価値がありますから」


地面に落ちているそれは青みがかった小さな宝石のようだ。

話には聞いてたけど、もちろん実物を見るのは初めてだ。

これが魔石。

ダンジョンのモンスターを倒すと時々残されていることがあるというエネルギー結晶。

色々と使い道があるらしく隊長が言っていたようにある意味宝石よりも有用らしい。

昨日の1階層では一度も出なかったので、2階層だからドロップしたのかもしれない。


「安心してください、ドロップはきちんと等分割だから」

「そうなんですか」

「給料より普通にこっちの実入りが多いので心配いりませんよ」

「いえ、別にそういう心配は……」


給与よりドロップの分配のほうが多いのか?

給与だって前の会社より多いのにそれより多い⁉

希少な魔石とはいえ、この小さな青い石がそんなに高いのか。

それを等分でもらえるとは待遇がよすぎる気がする。

まじめに頑張れば、すごく貯金できそうだけど、やっぱり危険手当みたいな意味合いが強いのかもしれない。


「それじゃあ特に消耗もないようですし、このままどんどん進みましょう」

「はい」


魔石は喜田さんが回収してそのまま先へと歩を進める。

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