第39話 昔犬にかまれました

防衛機構にも当然だけどいろんな部署があり、俺の配属された後藤小隊はいわゆる前線部隊。

ダンジョンのモンスターを直接駆除して回る隊となる。

てっきり毎日潜るのかと思っていたけど基本週3回だそうだ。

やはり、モンスターとの戦闘は激務なのでそれ以上の日程を組むと離職率が跳ね上がったのだそうだ。

ここらへんは一般企業と大差ないらしい。

そして、俺は寮へと入寮させてもらったけど1LDKで今まで住んでたところよりずっときれいだ。

防衛機構の所有物件らしく俺以外にも独身の隊員が入寮しているらしい。

給料もそうだけど命の危険がるからか防衛機構の待遇は俺が思っていた以上に厚い。

ひと通りの説明を受けた後小谷さんが俺のプライベートに斬り込んできた。


「花岡さ~ん。ちょっといいですか?」

「はい、なんでしょうか」

「花岡さんって四十歳なんですよね~」

「はい、そうです」

「花岡さんってお兄さんとかっています?」

「え? 兄ですか? いえ、一人っ子です」

「ふ~ん、そうなんですね~」

「住まいはずっとこっちですか~」

「いえ、出身は静岡なんですが、大学からはずっとこっちですね」

「そうなんですね~。ちなみになんですけど犬って好きですか?」

「犬ですか? 昔は結構好きだったんですけど、野良犬にかまれたことがあって、それ以来ちょっと苦手ですね」

「…………」

「小谷さん、どうかしましたか?」


なぜか俺が犬にかまれた話をすると小谷さんが黙り込んでしまった。

ちょっと引かれてしまったかな。


「いえいえ~なんでもないです。どうして野良犬にかまれたのかな~と思って」

「それが、たまたま女の子が犬に襲われてるところに居合わせまして、柄にもなく助けようとしたら自分がかまれてしまった次第です。はは……」


隠す事でもないから別にいいんだけど、いきなり初日から黒歴史公開のようになってしまった。


「やっぱり……」

「え?」

「なんでもないです~。そういえば、ご結婚はされてないって聞いたんですけど~」

「はい、恥ずかしながらその通りです」

「全然恥ずかしくはないと思うんですけど、どうしてですか?」

「え~っと、どうしてというのは?」

「なんで結婚してないのかな~とおもって」

「理由ですか。縁がなかったというか、恥ずかしい話こんな顔ですから誰も結婚してくれるような相手がいないと言いますか」


説明している自分が切ない。


「あ~花岡さんってそういうかんじですか~。了解で~す」


そういう感じってどういう感じかわからないけど、結局初日は顔合わせと説明だけで終わってしまった。

結構気合を入れてきていたので肩透かしな感じだけど、これからが大事だ。

小谷さんによると明日はついにダンジョンへと踏むこむことになるらしい。

今から緊張と期待感でいっぱいだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【作品のフォロー】【評価☆☆☆】で応援してもらえると嬉しいです!

※作品画面の下にある『おすすめレビュー』の『☆で称える』でお願いします

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る