第26話初めてのダンジョン

「それでは、スタートです」


担当試験官の合図で五人揃ってダンジョンへと入る。

 他のグループは一時間筒時間をずらして試験開始となるらしい

これも試験だからなんだと思うけど、このダンジョンについては何も聞かされていない。

 

「オッサン、どうする?」

「そうだな。まずは隊列を組んでモンスターに備えようか」

「おお、それじゃあ俺が前だな


陣内くんはアタッカーと言ってたからそれがいいだろう。

女性三人に確認してみるが、当然初めてのダンジョンに緊張しているようなので後ろに付いてもらい俺が真ん中に入る事にする。

六時間か。

長いな。

ここが地上なら六時間くらいなんともないけど初めてのダンジョン。

密閉され、空がないこの空間にいるだけで襲って来るプレッシャーは計り知れない。

どうするかな。


「それじゃあ、とりあえずしりとりでもやりますか」

「ちょっとまて、オッサン。なんでダンジョンまで来てしりとりなんだよ」

「いや~ちょっと、遠足みたいじゃないか? クラスメイトでグループだし」

「遠足? 気楽なもんだな」

「みなさんもどうですか? 六時間もやることないですし」

「いいですね。やりましょうか」


市川さんはやってくれるらしい。もしかしたら俺の意図を汲んでくれたのかもしれない。


「じゃあ私も」

「やりましょう」

「しょうがねえな。じゃあ俺もやる」


五人でしりとりをしながらダンジョンを歩き始める。

担当の試験官は最後尾からついてきている。


「それじゃあ、俺から行きますね。まずは、ダンジョン」 

「おい、オッサン、いきなりやらかすんじゃねえよ」

「あ、本当だ。すいません。年ですかね~」

「はははっ、笑えね~」


いや、陣内君しっかり笑ってるよ。

どうやらほかのメンバーも笑ってくれたようだ。

これで少しは緊張が解けるといいけど。

目的物か記されたマップは渡されている。

座学でもこんなシュチュエーションの対処法は学ばなかったけど、この指定物を持ち帰らなければ卒業できないのであれば行くしかない。

みんなと相談して別所さんにマップのナビゲーションをお願いして探索することに決める。

途中休憩も挟むだろうから片道およそ二時間くらいでは辿り着く必要がある。

俺が提案したしりとりだけど、緊張をほぐす効果はあったけど思ったほどは続かなかった。

陣内くんが今どきのゲームを提案してくれていろいろやってみたけど、基本負けるのは毎回俺だ。

やはり若い子達の頭の回転についていくことは難しいのかもしれない。


「おい、オッサン、なんかいるぞ」

「みんな、気を付けて。いつでも詠唱できるように準備を」


試験用に一応はナイフを渡されてはいるけどモンスター相手には心許ない。

やはり魔法で対処するのが正解だろう。

その場で足を止め前方の様子を窺う。

確かに何かの鳴き声のようなものが聞こえるな。


「ギ~ッ、ギ~ッ、ギ~ッ」


耳障りな音が聞こえると同時に、前方から高速で何かが飛び出してきた。


「ホーンラビット!」


座学で習った。

角の生えたウサギ型のモンスターだ。

大きさはそれほどでもないけど、高速でその頭に生えた角を突き刺してくる凶悪なモンスターらしい。

見た目は可愛いけど、注意が必要だ。

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