第19話 校長室
結局、その日も見学するだけで終わってしまったので、かわりに座学だけは集中して受けた。
ただ、この学校にきてわかったことがある。
魔法の呪文など自分の興味が強いことに関しては、問題なく覚えることができるがそれ以外の勉強については、大学生の時に比べ明らかに憶えられなくなっている。
話しには聞いていたが、これが老化というやつか……。
顔については、昔から老けているといわれていたので今更だが、脳の老化を実感して衝撃を受けてしまった。
やばい。授業についていくためにも、もっと予習、復習をしないといけない。
だけどある意味外見も中身も本当のオッサンになってしまったみたいで悲しい。
高校までは社会とかの暗記科目はかなり得意としていただけに余計に悲しい。
翌日、学校に行くと朝、先生から放課後、校長室に行くよう伝えられた。
なんで俺が校長室にとは思ったが、先生が結構渋い顔をしていたので、いいことではない気がする。
もしかしたら壊した的を弁償しろとかいわれるのか?
まさか退学ってことはないよな。
座学も頑張らないといけないと、昨日心に決めたにもかかわらず、呼び出しが気になって授業に集中することができなかった。
休み時間にはクラスメイトも何人か話しかけてくれていたが、上の空で話した内容はよく憶えていない。
老け顔以外は目立ったところのなかった俺は、大学までの学生生活の中で呼び出しをくらったことは一度もない。それなのにまさか四十歳で、しかも校長から呼び出しをくらうとは。
結局憂鬱なまま放課後を迎え、校長室に向かうことにする。
教室を出ようとしていると陣内くんが声をかけてきた。
「よお、オッサン。どうしたんだ? なんか暗くないか?」
「あ〜それが、これから校長室に呼び出されてるんだ」
「校長室⁉ オッサンなんかやったのかよ」
「いや〜どうだろう」
「そうか、まあがんばれよ」
「ああ、頑張るよ」
陣内くんのエールを受けてとぼとぼと廊下を歩いていく。確か校長室はこの突き当たりのはずだ。
コンコン
「生徒の花岡です」
「ああ、入ってください」
中から校長の声が聞こえてきたので、緊張しながら扉を開けて中に入る。
中に入ると校長先生と思しき男の人が机に座っていた。
「あ……れ。あなたは、北王地さん?」
「ああ、花岡さん、呼び立ててすいませんね」
「北王地さん、もしかして……」
「この学校の校長の北王地です」
「あ、昨日は知らなかったとはいえ失礼しました」
「あ〜大丈夫。昨日の感じで大丈夫ですよ。校長といっても雑用係みたいなものですから」
「そうですか。それで、ご用件は……」
「ああ、それなんですが、明日から放課後私と課外授業をしませんか?」
「課外授業ですか?」
校長先生と課外授業? この感じだと俺だけっていう意味だよな。
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