第10話 ジェネレーションギャップ

「お子さんとかはいらっしゃるんですか?」

「いや、結婚したことがないんだ」

「そうなんですか? もしかしてそういう主義だったりします? 付き合うけど結婚はしないみたいな」

「いやいや、そんな大層な主義じゃないよ。単純に縁がないだけ。はは……」


なんで俺はこの子たちにこんな話をしているんだろう。

悪意は感じないけど、まさかこのオッサンキモイとか思われてないよな。

俺としてはせっかく同級生になったのだから仲良くできるものなら仲良くしたいと思うけど。


「花岡さんって理想が高いんですか?」

「いや全然そんなことないと思うけど」

「それじゃあ私たちみたいなのってどう思いますか?」

「どうって……若くて魅力的だと思います」

「きゃ〜っ。魅力的って花岡さん口がうまいですね」

「そんなつもりじゃないんだけど。本当にみなさん魅力的ですよ」

「私たちみんな二十歳超えてるんで安心してください」

「ああ、そうなんだ」


安心ってどういう意味だ? 若い子の言うことはよくわからん。

これがジェネレーションギャップというやつか。

これから一緒に学ぶんだからどうにかついていかないといけないよな。


「話変わるんですけど、花岡さんってお酒とか飲まれますか?」

「お酒? そんなに強くはないけど飲むよ」

「よかったら今度いかがですか?」

「まあ、機会があれば」

「本当ですか? それじゃあ今週末とかどうですか? 歓迎会しましょう」

「歓迎会か。みなさんがよければ是非」

「やった〜。みんなよかったね」

「うん」


ああ、この子たち本当にいい子だな。オッサンの俺がボッチにならないように気を遣ってくれたんだな。

こんなに嬉しそうにしてくれると、俺まで嬉しくなってきてしまう。

初日で心配してたけど陣内くんといい、いい人に恵まれた。

これからの学校生活もなんとかやっていけそうでよかった。

帰ったら缶酎ハイ飲もう。今日のお酒は格別だろうな。


⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑


「花岡さん、気さくないい人だったね」

「私たちの分もサラッと払ってくれたし大人って感じ」

「渋いよね。大人の余裕っていうのかな。なんか色気があるよね」

「お父さんとは全然違うよ。うちのお父さんなんかもう加齢臭がひどいんだけど花岡さんはいい匂いだし」

「わかる〜」

「だけど、遊び人って感じもしないし紳士って感じじゃない?」

「うん、しかも結婚したことないって。そっちでもないって言ってたし」

「まだわからないけど、いいよね」

「うん、いいと思う」

「三ヶ月間楽しみが増えたね」


⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑



俺は彼女たちと別れてから家に帰ってコンビニ弁当と一緒に缶酎ハイをあける。

「あ〜なんとかやっていけそうだな。それにしてもやっぱり俺だけオッサンだな。みんな二十歳前後か〜。置いていかれないように頑張らないとやばいな。今週末に歓迎会か〜。調子にのってキモがらがられないようにしないといけないな。まずは学校を頑張らないと」


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