「守護活動」編

第32話 「捜索開始!」を満喫しようと思います


「タゼルとルベルが昨日からいない!?」


 夏の終わり。

 正午。

 守護の庭にて。


「ああ、そうじゃ。お主らもわからんか。2人はよく遊びに出かけるから、昨日の花火の音につられてお主らのところへ行ったかと思っておったが...」

「見てないけど...スタン爺は何も知らないの?」

「実は1つだけ心当たりがあるんじゃ」

「心当たり、ですか?」

「2人ともお主らと一緒に訓練を受けていたじゃろ。あの子たちは今の実力を試したいと言っていた」


「それでどこかへ2人きりで...」

 エレナは考えるようにつぶやく。


「任せてくださいよ、スタンさん!オレたちが必ず連れて帰ってきますので」

「頼れる元魔王がいて助かるわい」

「ちょ、ちょっとスタンさん?それは言わない約束じゃないですか!」

「ふぉっふぉ、そうじゃったな」


「もしかしたら山の中に入っちゃったかもしれない!」


 ふとエレナはそう口にした。

「私があの子たちの練習みてるとき、呪われた遺跡の話が出てきたの。何があるのか見てみたいって」


「行ってみようか、エレナ」


 2人はスタン爺に「気を付けるんじゃぞ」と見送られながら、魔の空気の強い山、シャドウピークのほうへ向かっていった。




 2人が守護の庭を出ていった直後、フォロがやってきた。

「おはようございます、スタン様。タゼル様とルベル様は大丈夫なのでしょうか」

「やあ、おはようフォロ。あの子たちもまた不思議な力を持っておる。アバウトとエレナがきっと見つけて、助けてくれるさ。今日もよろしく頼むぞい」

「はい、スタンさん」

 そしてフォロはスタン爺のあとをついて、守護の庭の作業場へ向かった。




「うっわ~、すっごい雰囲気~」


 アバウトとエレナが歩くこと30分。

 シャドウピーク山の入り口と思われる場所へ到着した。

 まだそこまで高い魔力はないようだが、この広い山ではどうなるかわからない。


「やっぱりフィレさん呼んだ方が良かったんじゃないか...?」

「いいの!あたしアビーと2人だけでタゼルとルベル助け出すから!」

「まあ、一応連絡だけはしておいたし...」


 アバウトはここへ来る途中、2人の行方がわからないことをフィレに連絡しておいたのだ。今頃は街中で守護者による捜索が行われていることだろう。

「そうね、ノワールのほうで見つかればいいけど」

 そして2人は、暗い山の中へ踏み込んでいった。

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