第17話:カオス状態の日の本家。

「ちょっと、DVD買ってくるから、その間、野次馬を相手にしててくれ」

「ヨコチ・・・ドールに変なことするなよ、それから変なことも教えるなよ」


太陽君はヨコチにそう言って出かけようとすると、


「私も行く・・・」


ってドールが立ち上がって太陽君について行こうとした。


「ダメダメ・・・ドールはここにいろ、いい子だから」

「ドールがここにいないとダメなんだから・・・主役なんだから」


そうか、ドールがここにいるから野次馬が集まるんだ・・・。

でもな〜どこかへ連れて行くたって・・・行った先でまた迷惑かけるしな。


「よかったらドールちゃん俺んちで引き取るぞ・・・友達のよしみだからな」


とヨコチ。


「論外!!」

「却下!!」

「世界が滅んでもそれは絶対ないと思え!!」


「人の親切を拒否なんかしたらあとで後悔するぞ太陽」


とヨコチ。


「おまえに、まかせるほうが後悔するわ!!」


ラビリンスは太陽君のシャツを引っ張って


「私、ヨコチンのところになんか行きたくない」


ってまた口を尖らせた。

太陽君はまたどさくさに紛れてチューしてやろうかと思った。

次、同じシュチュエーションになったら自分を抑える自身はなかった。


「じゃあ、ドールちゃん僕といこう、ホームセンター」


ヨコチがまた、余計なことを口走った。


「嫌です~」

「なんで・・・行こうよ」


ドールは太陽君にしがみついた。


「あ、太陽いいな、おまえ・・・」


「ヨコチ、ドールはお前と一緒に行くのは嫌だってよ・・・」

「じゃ〜おまえがDVD買いに行ってくれよ、・ひ・と・り・で・・・

たのむよヨ〜コ〜チく〜ん」

「ここはおまえしかいないな・・・頼んだ」


ヨコチは、ドールに嫌われてるんだけど認めようとしなかった。


ヨコチはブツブツ言いながら、しぶしぶホームセンターに出かけて行った。

本当は太陽君はホームセンターに言って、しばらく休憩しようと企んで

いたのに・・・。


連日連夜、賑やかしく人が並ぶので案の定、ご近所からもクレームが来た。

太陽君と日向さんは菓子箱を持って、ご近所に謝りに行ったりした。

やむなく太陽君は立て札を作って並んでる連中のまえに、立てた。


「本日の営業は終了しました」


と書いてあった。

でも立て札はなんの役にたたず、次の日、下水の溝の中に無残に落ちていた。


「おまえら、もういいかげんにしてくれ」

「こんなの続いたらそのうち、俺たち家族は死ぬよ」


って叫んだが、無駄だった。

もう、外は、いつしかお祭りみたいになっていた。

何が目的なのか、何がしたいのか・・・日の本家の前はもうカオス状態だった。


玄関先で疲れ果てた労務者のように、座り込んだ太陽君はまるで沈んでいく

夕日のように黄昏がれていた。


それより一番機嫌が悪かったのはドールだった。

この騒ぎもすぐに収まったら太陽君とラブラブできると思ったのに、いつまで

経っても日の本家に平和はやって来ない。


「ねえ、太陽君、いつになったら太陽君とラブラブできるの?」


「ラブラブって・・・まあ、今のままじゃ無理だな」

「俺も学校休んでるしな」


「そんなのイヤだ・・・ラブラブしたいですぅ」


「この騒ぎが収まったらな」

「このままじゃ、そのうち警察が出張って来そうだよ」


「おまわりさん呼んじゃう?」

「それとも〜ここに来てる全員、私がゴキに変えてもいい?」


「まてまて、いくらなんでもそれはマズいだろ・・・ゴキって」

「・・・でもいい考えだな、それ」


つづく。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る