クェイルに愛を ~ユーフォニア 婚約破棄から始まる王国滅亡~

シュンスケ

第1話プロローグ


『Kill The Qhale クェイルに死を』


 こう書かれた貼紙は王都中に貼ってあった。


 雲の上に棲息するクェイルは、天空を覆うほどの巨大な浮遊生物だ。


 時折、地上に降りて来て、街を破壊し人や家畜を飲み込んで去っていく。


 その被害規模は天災と同等かそれ以上だった。


 アモルファス王国はクェイル襲来に備え、常に王都に強力な魔術師を配していた。



『Don't Kill The Qhale クェイルに愛を』


 クェイル教の教義では、クェイルは神の使いで、けっして侵してはならぬ神聖な存在だった。


『神が死を望むなら、笑ってイエスと答えよ』という教義の通り、クェイル教徒たちは笑顔でクェイルの口の中に消えていった。

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