永遠の救い

天川裕司

永遠の救い

タイトル:永遠の救い


世の中に挫折した。

もう生きていけないと思った。

事業に失敗し、借金を抱えてしまい、

生活する土台をなくしたからである。


そして俺は自らこの世を離れようとした。

でもそうしていた時、今流行の疫病にかかってしまった。

この世を離れようとしていた俺が、

毎晩、高熱にうなされるようになり、

それが影響したからか、ふと死ぬのが怖くなった。

瞬間ずつだったが、猛烈に怖くなってしまったのだ。


そこで俺は死について考えるようになった。

「死とは、どういうものなのか…」

これまでこんなに真剣に、まともに考えたことがなかった。

ただ漠然と、この世を離れるだけ…そう考えていたのだ。

しかし今この段階に至って、

苦しむことだけは絶対に嫌だ、

この思いがまた猛烈に膨れ上がった。


そして同時にそれと同じぐらい、

いやもしかするとそれ以上に怖かったのは、

こんな時にすがり付けるものが何も無いと言う事。

何も無かったのだ。


元気な人はみんな離れていく。

そこにいても、そばにいても、遠ざかっているのと同じ。

立場が違うからだろう。

でもそれだけじゃない。

これはきっと心の問題なのだ。精神の問題。

こんな時でも、本当に安らかだった人を俺は知ってる。

確かに同じように苦しんではいたが、

その人は始終、笑顔だった。

あのワケのわからない笑顔、

喜びのようなものは一体どこから来てたのか?


その人はクリスチャンだった。

元仏教徒だったが、クリスチャンに転身したらしい。


俺は聖書を読んだ。これはその人からもらったもの。

するとイエス様のことが出てきた。

これまでちゃんと読んでなかったから、

まるで新発見した気分だった。


イエスは十字架につけられ、

あの当時の群衆によって殺された。

そして3日目に甦り、天に上られたとある。


その十字架につけられるまで、そしてつけられた時、

どれほどの苦しみがイエス様を襲ったのか…

そのことをまず思った。

想像を絶するほどのものではなかったか?

イエス様だったから…

そしてその十字架により、

すべての人の罪が癒された、許されたとある。


神様は、俺のことを全部ご存知である。

良い所も悪い所も全部…。

信仰から外れた悪い事をしてるのを隠そうたってそうはいかない。

そんな事はやったって意味がないのだ。


だから許しを乞う事が必要だ。

いや、もう許されている。

イエス様が十字架につけられ、人の罪を贖い清められ、

背負ってくださったことで、すべての人の罪は許されている。

その契機・きっかけがすでに与えられている!

だからこそ信仰に生かされる事が本当に大事になる。


人にとって最大の苦しみ、本当の苦しみは

その罪による苦しみだと聞いたことがある。

罪による苦しみは永遠に続くからだ。永遠…


どんなに健康な人でも、

どんなに不健康な人でも、皆平等に死ぬ。

早いか遅いかだ。その早いか遅いかにしても何時間かに過ぎない。

世界一健康な人でも、その数秒後に事故に遭うかもしれない。

人の世の中の物事にはすべて限りがある。

何百年・何千年生きた人を見たことがなく、

100年生きる人だって稀なもの。

健康だから安心、と言ってられるその安心にも限りがある。

その1分1秒後、その人はどうなるかわからない。

それが人間だ。


そんなこと言ってちゃキリがない、ではなく、

それが人間なのだ。

それを考えないから人には…いや俺にはずっと平安がない…

その境地にたどり着いたのだ。

すべて聖書のおかげだった。

すなわち、神様が人に教えてくれたその言葉のおかげ。

これをクリスチャンは御言葉と言うのだろう。


何百年・何千年生きた人をもし見たことがあるとすれば、

それはイエス様だけだろう。

イエス様は今でもずっと、全ての人の友として

そばに生きて下さって居るのだ。

心で、感覚で、あるいはその目で誰でも必ずイエス様を見ている。

その人が喜怒哀楽にある時、人生のどんな時…

特に苦境にある時でもイエス様はずっとそばに居てくださる。

「私の力はその人の弱い所に完全に顕れる」

「私の恵みはあなたに対して十分である。私の力は弱いところに完全にあらわれる」

(『コリント人への第二の手紙』第12章9節)

この御言葉にどれほど救われる事か…。

みんな離れて行っても、イエス様だけはそばに居てくださる。

神様が、イエス様を通してそばに居てくださるのだ!!


それを知ったとき、俺は高熱が苦しくなくなった。

恐怖が心身を苛み、苦しめていたのだ。

おそらく高熱で意識が朦朧としていたので、

自分がどこで何をしているのかよくわからなくなっていたのもあり、

そう言う感覚が麻痺していたのかもしれない。

あるいは健康へのあきらめと、普段、

不安に思い続けていた健康への

しがみつきがなくなったからだろう。


でも朦朧としているから痛みがほとんどなく、

苦しみらしい苦しみを感じず、

このまま意識を失って天国へ引き上げられたい…

そう思うことができたから、

怖くなくなったのかもしれない。きっとそうだった。


そうして朦朧とした中、安心すると、

高熱が引き、平熱に戻ってくれた。

これも本当のこと。


ただ翌日起きた朝、猛烈な喉痛が残り、

治りかけていたからか保身が働き、

「せっかく治りかけていたのに!」

とまた保身が臆病を何人も連れてきて、

俺はまた不安・恐怖・苦しみの虜になってしまった。


人間、治りかけるとそうなるらしい。いや俺の場合か。

高熱でうなされていた時、

その覚悟をしようとしていたからかまだ安心できた。

でもその時でも癒して下さいと神様に祈り続けていたが。


でもあの時の臆病と今の臆病とでは

似ているようで何か違う。

俺はまた祈った。1日中祈った。

心の中でずっと祈り続けた。

すると光が見えてくる。そんな気がする。


他の人を見てちゃダメなんだこんな時。

神様からそれぞれに与えられた環境・条件がある。

大事な事は、神様に遣わされること。

信仰に生かされて、少しでも神様に喜ばれる人間に成ること。

このことに、俺はこの病を通して、

神様から気づかされた気がした。

実はこんなことが、これまでにも何度かあったのだ。


俺は自律神経失調症から来るパニック障害でもある。

そのパニック発作の時、

本当に死にかけたことが何度もあったのだ。

そんな事は絶対に無い、なんて人は言うが、

当人にとってはそうなるのだ。

少し前に発作に見舞われたとき、血圧が80と40まで下がり

耳鳴りがし始め星が目の前を回り、意識が遠のいたことがある。

このまま死んでもおかしくなかった。

人の体はいつどうなるかわからないのだ。

だからどんな病においても絶対と言う事は絶対にない。

すべての人は、常に死と隣り合わせにある。

君が数秒後、何かの理由で天に召されていてもおかしくないのだ。

その先の事は、神様だけがご存知。


つまり人は、そういう生き物であると言うこと。

これも俺は、この時に改めて神様から教えられた気がした。

これもこれまで、普段、考えなかったことだ。


また聖書に、蓄えの話があった。

どれだけ財産を蓄えても、その人の命はその夜に、神様に取られる。

(『ルカによる福音書』第12章13~21節)

そうなれば、その財産は何の益になるのか。

その財産を、この場合、健康に置き換えることもできると思った。

サプリメントや、健康のための促進など…。


人は健康に気遣っても、囚われちゃいけない。

大事は信仰に生かされること。

その信仰の内に良き管理者になれという

言葉があるから自分の体の管理者と考えた上で

それは出来るだけをもって大事にした上で、

その健康だけを重んじる上で、それだけに価値を置き、

それゆえの臆病の虜になっちゃいけない。


それでも俺は臆病だから、何がどうでも

不安・恐怖・苦しさから解放してください、

特に苦しみからだけは何としても解放してください

と神様に祈り続け、

永遠に安心できる場所を求めた。

そしてそれが神様のもとにしか無い、と俺は気づいたのだ。

神様からそう知らされたと信じている。


この世の苦難・ハードル・しがらみ、

不安・恐怖・苦しみは次々にやってくるもの。

これまでの経験を通し、そんな事は

もう全ての人が既に知っていることだろう。

この世だけの、人間だけの平安を求めても意味が無いのだ。

意味が無いとは目的が無いと言うこと。

目的が無いとはそこに救いが無いと言うことだ。

少なくとも、俺がそこで求める救いと平安はそこには無い。

あの覚悟が、俺にそう教えてくれた気がする。


俺は今、その経験をもって信仰に生かされ、

使徒としてその働きに就くことが出来ている。

すべては神様に感謝である。


人としての大事は、瞬間で終わる今だけの幸せではない。

信仰を持って、神様のもとで永遠に生かされることにある。

俺は神様に許されながら、そして愛されながら、今を生かされている。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=uz-04dk8dzQ

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永遠の救い 天川裕司 @tenkawayuji

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