第6話
『開拓都市トリステイン』には下水道が存在している。
十年前はなかったヤツだ。
つーか下水道という概念自体世界に存在しなかった。
みんなマジでそのへんに糞尿撒いてたからな。
終わってたよ。
「でだヒヨコくん。下水道みたいな暗くて汚い場所には、何が住み着くと思う?」
『ピヨ?』
「そうネズミだ(問答無用)」
そんなわけでやってきたワケですよ下水道。
なんかギルド曰く、『巨大鼠ジャンボラット』とかいうネズミの十倍デカいネズミな魔物が繁殖しているそうで。
それを狩ってきてほしいというお仕事を受けたわけだ。
なお、誰も受けたがらない模様。
それも結構な高額依頼とされているのにだ。
「なんでだと思うヒヨコくん?」
『ピヨピヨピヨピヨピ~ヨピヨ?』
「なんて?」
よくわからんがどうせ不正解なのでお答えしよう。
答えは、『汚い』からだ。
「誰が来たいと思うかよ。こんな
脇にくっさい生活排水が流れてるんだぜ~?
誰もきたくねーよ当たり前だよなぁ。
「俺も本当は嫌なんだぜ? スキル≪
俺は綺麗好きだからな。
そんな俺がなぜこの仕事を受けているか。
それはカネのためだ。
「……ヒヨコくん。俺は思ったんだよ。やっぱり自分だけの家が欲しいって」
『ピヨ?』
今の俺の住処は長期契約可能の宿屋だ。
前の世界で言えばアパートだな。
そこを利用させてもらってるわけだが、やっぱり狭いしお隣さんとかを気遣わないといけないわけでさ。
「ンで何より、モノづくり大好きジェイドくん的には好き勝手出来る工作部屋を作りたいわけよ」
てかソコが一番の理由だったりする。
……もう共同施設の備品を壊して慌てふためくのはこりごりだからな。
というわけで『邪龍ハウス』の建設目指して働こうと思いまーす。
うおー。
『――ギュァアッ!』
「お、出たなクソネズミ」
のこのこ歩いてたらさっそく出ましたよジャンボラットさん。
全然かわいくない鳴き声でございますね。
「一応見とこ。スキル≪
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対象名:『巨大鼠ジャンボラット』
種族能力:【超免疫】(あらゆる毒と菌類への耐性付与)
個体能力:【なし】
ホモサピエンスを優先して害する魔物の一種。
一匹一匹は比較的弱いが、集団で襲い掛かってくるため要注意。
『冒険者ギルド』より危険度判定Cとされている。
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「なるほど、集団でねぇ」
厄介だなぁと思ってたらズラズラと。
ジャンボラット1号の後ろから十匹ほどのラットが駆けてきて、たちまちクソネズミーランドになった。
汚い。
『ギュガギャァアアッ!』
さっそく襲い掛かってくるクソネズイレブン。
一体を戦闘破壊しても後続の巨大ネズミがズラズラって感じだな。
「こういう時は冷静に距離を取ってと」
まずは大きく後ろにジャンプ。
次に虚空から大弓を取り出した。
先日作ったトレントとトロールの『魔導兵装』だ。
「名付けて『トトロの魔弓』だぜ」
スキル≪
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・『トトロの魔弓』 レア度:3 種別:弓 重量:25キロ 製作者:ジェイド
物理攻撃力:300
属性攻撃力:0
耐久度:100%
特殊能力【強弦】
『食人樹トレント』の材木をベースとした大弓。
さらに弦には『豚鬼トロール』の強靭な筋繊維を加工して用いているため、その破壊力は計り知れない。
なお使用には重量相応の筋力が問われる。
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って感じの武器だ。
「“一般的成人男性が全力で長剣を振り下ろしたときの攻撃力”が50らしいから、こりゃ期待できそうだな」
力の入れ具合でさらに威力も上昇するしな。
「さっそく試させてもらおうか……っと!」
矢を取り出し、素早く一発ズバンッとな。
すると~。
『ギュギィ!?』
俺が放った矢はネズミ数匹を一気に貫いた!
ヒャッハーゴートゥヘブンッ! うーん強い!
「今回の武器作成は大成功だな。久々の大当たりだぜ」
逆に大失敗の時もある。
捨てられた武器に怨霊が宿った魔物『リビングウェポン』の刃を使ってブーメラン作ったことがあったんだよ。
魔物化した刃はめちゃ切れ味が上がってるからな。
それでさっそく投げてみたら、
「……回転中に魔物としての意思を取り戻して、俺にぶっ刺さりに戻ってきたんだよなぁ」
頭に刺さって痛かったよ。
邪龍の生命力してなきゃ死んでたぜ。
そういう事故が起こることがあるから、『魔導兵装』作成って意外と手を出す奴が少ないんだよなぁ。
『ギュガーッ!』
おっと。
考え事をしてたらネズミーズの残りが突撃してきやがった。
「うし、近接戦ならこれだな」
次に懐から取り出したのは、失敗作のリビングウェポン製巨大ブーメラン。
名付けて『ポメラくん』だ。
なお性能はこんなとこ。
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・『ポメラくん(失敗作)』 レア度:3 種別:ブーメラン 重量:35キロ 製作者:ジェイド
物理攻撃力:400
属性攻撃力:0
耐久度:100%
特殊能力【自律行動(制御不可)】
『食人樹トレント』の材木から生成した本体に、『武装怨霊リビングウェポン』の刃を付け加えた巨大ブーメラン。
重量相当の凄まじい威力を誇るが、怨霊の意識が蘇ってしまい制御不能の危険物に。
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『
声なき声で叫ぶポメラくん。
表面には目玉がいくつもギョロギョロしており、勝手に浮遊して俺を刺さんとしてくる失敗作なのだが……、
「邪龍パワーで抑え込めば問題ないよなぁ」
ガシッと力づくで握りこむ。
そして、
「オラオラオラオラオラオラァ!」
『ギャビィーッ!?』
『
そのまんま剣のごとく振るい、ネズミーズを壊滅させるのだった。
わっはっはっはっは。
ブーメランである意味、
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【今回の登場人物】
俺:ジェイド。本名が恥ずかしい人。頭にヒヨコ飼ってるけど潔癖症。家が欲しいと下水で思った。
クソネズイレブン:絆で繋がった最高のチーム! 上のヤツにみんな殺されたぞ。
ヒヨコ:飛んでたゴキブリを
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