転生したら【暗黒破壊龍ジェノサイド・ドラゴン】だった件 ~ほどほどに暮らしたいので、気ままに冒険者やってます~【書籍化コミカライズ決定!】

馬路まんじゟ@「転生破壊龍」発売検索!

第1話



「ほれ出来たぞ? 焼きたての肉に塩。これで美味くないわけがない……ッ!」



 ある日、森の中。

 ぱりぱりに焼けた皮にかぶりつく。



「! うまいっ!」



 そこらで狩った魔物『チャージボア』の肉だ。

 

 歯を突き立てると熱々ウマウマの肉汁がピュッと出た。

 たまらん。



「ん~ジューシー、最高。……ふぅ。ちょい聞いてくれよ。こうして森でメシを食うたびに俺思うんだよ」



 嚥下しながら考えを出す。



「ご飯を美味しく食べる条件は二つある。それは、綺麗で豊かな環境にいることと、『ちょっとだけ忙しい人生を送ってること』だ」



 あ、『ちょっと』くらいだぞちょっとくらい。

 ガチで過労死するくらい忙しいのは駄目だ。


 これ体験談な(一敗)。



「ともかくだ」



 ――要するに、やるべきことややりたいことはそこそこあるけど、その気になればサボれる程度の忙しい生活。


 そんな日々こそメシのスパイスにはちょうどいいと、俺は二度目の人生で結論付けたわけだ。



「“ほどほどに腹が減って、なおかつメシを味わう余裕があればいい”ってこった。金も少しは必要だしな?」



 ――だから俺は『冒険者』やってるわけだよ。



 そう締めくくって。

 唯一の聴衆に向き直る。




「はい講義終了。わかったかな、『トロール』くん?」


『ウガウウウウウウーーーッ!』




 あぁーーーー駄目だコイツ全然わかってねぇやクソボケが。



『ウーーーーーッ!』



 ウーウー言うんじゃありません。



「一応詳細見ておくかぁ。スキル発動≪鑑定アナライズ≫っと」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 対象名:『豚鬼トロール』


 種族能力:【怪力】(全筋力に強力な補正)


 個体能力:【なし】



 ホモサピエンスを優先して害する魔物の一種。

 凄まじい身体能力と免疫力を有するが、推定IQは“3”。

 そのため危険ではあるものの上位の魔物より一歩劣り、『冒険者ギルド』は危険度判定C+と判断。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




「……なるほどぉ」



 うん。

 IQ3なら人生論語っても仕方ないな。


 肉焼いてたら来たからって何やってんだろうな俺は。



「さて。危険度B以上なら狩って帰るわけにはいかないが、C+ならまぁいいだろ」


『ガァアアアアーーーーーーーッ!』



 俺に襲い掛かってくるトロールくん。


 どうやらかなり強めな個体のようだ。

 立ち込めた木々に肩やらが当たるも、一切減速せずに砕きながら突き進んでくる。



「ぶつかりおじさんレベル100だな」



 知り合いにぶつかられたら嫌だな。

 よし。




「じゃ、どれかで殺すか」




 スキル発動≪収納空間アイテムボックス≫、解放。



 “自力で持ち歩ける限り”のアイテムを出し入れできるスキルだ。


 俺はそこから、百ほどの武器を具現させた。




 って出しすぎたなこりゃ。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


今回の登場人物


俺:肉食って暴力した人。実はジェイドって名前。


トロール:IQ3で必死に生きてる奇跡のアホ。くさい。凶悪。今回の被害者。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る