秒針

3日目

昨日はなかなか悪くない1日だった。

だらしない自分を変えたいと思わせてくれる1日だった。

今日は珍しく朝は部屋の掃除をして、昼間から外に出る。

使い古した服とはおさらばだ。

新しい服を買って早速着てみた。

店員に勧められた黒のワイドパンツに白のニット。

アクセサリーなんかも勧められるままに付けてしまったが、案外似合っている気がする。

それから美容室に行って1年半くらい放置していた髪を切ってもらった。

髪型なんて気にしたこともなかったので、これも美容師にお任せした。

生まれつきサラサラな俺の髪の毛を見た美容師は、短くするのはもったいない。と言って、肩よりも長かった髪を肩の上まで切ってもらった。

一度家に帰り、夜まで部屋で過ごした。

そしてまたいつものように繁華街へ向かう。

今日の俺を見せびらかしたいような気分で、今日も路地裏には行かず、賑やかな通りを歩く。

いつもとどこか違う、俺に見蕩れるような視線に、少しにやけそうになる。

そしていつもと変わらないのはただ一つ。

いつものコンビニで弁当を買って帰る。

静かなワンルーム。

あの賑やかな街が気に入ってしまった俺。

今日は秒針の音が聞こえなかった。