第13話


【翌朝、寝室にて】



「――ほらラフム♡ アナタは身体が小さいんですから、ちゃんと力を抜かないとダメですよ! こうなったら私が肩を押さえて、一気に突き入れて、あげますッ、ねっとッ!♡」


「のぎゃぁあああああぁあああああーーーーーーッッッ!?!??♡」



 ……ええぇええ~~やっぱりだよ~~~……!



 はいアルヴァトロスくんです。


 朝起きたら、ロリPカップのラフムちゃんにがっつり食われておりました。



「あっ、おはようございます隊長閣下♡ この新しい雌についてはニーナが孕み姉となってほぐしていきますので、どうか小さな女の子との子作りをお楽しみくださいっ!♡」



 って楽しめるかボケェッ! お前らみたいなのが母親になったら子供が絶対可哀そうだろうがよぉーーー!



「ラフム、隊長は寝ている間に私がしっかり母乳で水分補給させてありますからね。ベッドに水溜まりが出来るようなすごい量が出ますけど、ビックリして抜いちゃダメですよっ?♡」


「のらぁああ~~~~っ!♡ 優等すぎるのだぁあああ~~!♡ のらっ♡ のらッ♡ のらぁッ!♡」



 ……130cmの凶器をぶるんっぶるんっ振るわせながら、「赤ちゃん~~~っ!♡」と腰をぐりぐり押し付けてくるラフム。

 耳元で「その調子っその調子っ♡」と囁くように導くニーナも楽しげだ。



「終わったら次は私ですからねぇ~~!♡」



 俺、これから毎朝戦犯二人相手になるのかなぁ……!?




◆ ◇ ◆





【昼、市街にて】



「防備の拡充以外にも、目下やらなければいけないことがある。それが何かわかるか?」


「子作り!」



 はいラフムちゃん黙ろうねぇ~。



「ニーナ、教えてやれ」


「はい閣下。我らアルヴァトロス領は、早々に国から排除されない地を目指し、戦力・経済力・幸福度、その全てにおいてトップの領地を目指しているのです」



 そうそう。

 そうなれば国も俺のことを『アルヴァトロスくん優秀! 最高の貴族だよ大好き!』ってなって、好いてくれるはずだからね。ぬふふふ。


 目指すぞ、軍部のアイドル・ボーマンくんポジション!(※ボーマンくん。天使のように愛らしい少年徴兵。少女のような顔立ちとあどけない性格からみんなに大人気だったが、『アトランティス海洋解放戦』にてインスマウス族の捕虜に。発見された死体は汚濁漬けにされた首から上だけだった)



「閣下はこの地の発展に強く注力しておられる。ゆえにまずは強靭な防壁と武器を用意し、結果、みごと寡兵にてウルス王国軍を撃滅せしめるだけの成果を示しました」


「うぅ……やられた側の私だから言えるけど、本当にとんでもない戦力だったのだ……!」



 あーうん。全身ボーガンに射貫かれまくってたからね、ラフムちゃん。まさに身をもって知るってやつだな。



「そして閣下は、戦力増強の次は『経済力』を上げようと考えられているわけですね」


「その通りだニーナ。撫でてやろう」


「あふぅっ……!?♡」



 たまには飴をあげておかないと怖いからなぁ、この女。



「ご……ごめんなさい。嬉しすぎて、ちょっとおしっこが漏れてしまいました……!」



 って何やってんじゃーい。



「【創造術式】、『汚染除去』。……喜んで貰えたのは光栄だが、以後気を付けるように」


「はぃぃ……♡」



 はぁ、俺のことが好きすぎて困る……!


 おかしいなぁ。十五歳の銀髪Lカップ美少女に好かれたら普通は天に舞い上がるほど嬉しいのに、そこに『隣国からクソ恨まれてる戦犯女』って属性がつくだけで、関わってたら別の意味で天に舞い上がりそうな気持ちになるんだもんなぁ……!



「気持ちはわかるのだニーナよ。私も最高の雄たる閣下に処女を捧げた瞬間に、痛みと頭がおかしくなるほどの悦びでおしっこ出ちゃったのだ」


「うふふ、あれはおしおといっておしっことは少し違うんですよ♡」



 昼間っからアホな会話やめろ戦犯ども。



「……話を戻すぞ。経済力を上げるためには、領地外から人を呼び込み、外貨を落としてもらうことが不可欠だ。そのためには魅力的な街である必要がある」



 そこで、と。俺はラフムを指さした。



「のだっ!?」


「魅力的かどうか判断するには、外様とざまのお前に見てもらうのが一番だ。そこでラフムよ。今日一日、このアルヴァトロス領の街をお前に案内してやろう」


「のだぁ~~~っ! 嬉しいのだぁっ!」



 ぴょんぴょんと跳ねるラフムちゃん。


 うーーーん可愛い! こういうところは年相応だねっ!


 これで民族統括主義思想で宗国王子の男性器踏み潰した政治的地雷って要素がなければ最高なんだけどなぁ~!


 あ、そしたらラフムちゃんの中身なくなっちまうか! HAHAHAHAHA!



「あっ、跳ねてたらお子種垂れてきたのだ!? どうしようニーナぁ~!」


「まぁもったいないっ! こうなったら私が吸い取りますッ、じゅるじゅるじゅるじゅる~!」


「名案なのだ! ひゃぁっ~!♡」



 あーうん! こいつら本当に苦手だわぁーーーーーーッ!




 ◆ ◇ ◆




「まずは服屋に連れて行こう。ラフムの衣服を揃える必要もあるからな」


「のだぁ~!」



 今のラフムは大きな布を貫頭衣にしただけの簡易的衣服を纏っていた。

 元々の服はボーガンと火傷でズタズタになっちまったからな。



「あ、でもラフムお金ないのだ……」


「俺が出すから心配するな。部下にした以上、いつまでもみすぼらしい恰好をさせておくものか」



 特に年頃の女の子とくればなおさらだっつの。



「うふふ、やっぱり閣下は優しいですねぇ~!」


「優しいのだー!」



 ってこのままじゃ上司の沽券にかかわるからだっつの!





◆ ◇ ◆





【大通りの服屋にて】



「あぁ、これは偉大なる空に輝く黒翼山の星にして隊長閣下……! よくぞおいでくださいました」


「ああ(その挨拶はいいっつの)」



 俺を出迎えてくれたのは、服屋の女主人であるマーサさんだった。


 ちなみに俺が連れてきた部下の一員で、衛生兵だったり。



「急なことで、ご歓待の用意もできず申し訳ありません。ただでさえ衛生兵として使い物になっておりませんのに……」



 あー。領主になってから、もっぱらみんなの治療は【創造術式】でやってるからね。



「気にするな。現状は発展を急ぐゆえ俺が術を振るっているが、いつまでもこうでは医療技術が発展しない上、魔力的な負担になるからな。いずれは出番を回してやろう」


「ふふっ、衛生兵の出番なんてないほうがいいんですけどね」


「確かにな」



 気の置けぬ戦友と微笑み合う。


 ――うーんこれだよこれこれ! 人間の会話ってのはこういうもんなんですよ!


 語ってて安らぎを覚えるものなんですよ!


 いつ暴走するかわからん戦犯メスどもが子種だの子作りだのニャーニャー言うのは『おしゃべり』じゃなくて『鳴き声』なんですよッ! 聞いててビビるだけなんですよ!


 あ~~~久々に人と喋った気分ですわ~~~~!



「今の生活も充実しておりますよ。戦地から帰ったら服屋を開く夢も叶えれましたし。それも、一店舗のオーナーにしてくださるなんて……」


「フッ、俺についてきてくれたがゆえの当然の褒美だ。さて服屋のマーサよ、本日は彼女の衣服を用意したいのだ」


「のだぁー!」



 元気に跳ねるラフムちゃん。貫頭衣であんま動くと色々見えるからやめなさい。



「あらあら! この子ってば、ニーナさんと同じく隊長閣下がリスクを承知で受け入れたという戦争犯罪者の……!」


「……ああ、そうだ」



 ってニーナもこいつもリスク知らなかったよチクショウッ!



「わかりました。ラフムさん、望んでくださればどんな服でも出来ますからね? 大商人トゥルーデ・トット・トート様のご支援してくださった物資の中に、大量の生地もありましたので」


「トゥルーデ!? おぉ、不老の魔女と呼ばれ、帝国随一の大商人と聞くヤツなのだっ! 隊長閣下はそんなのとも懇意なのだ!?」


「それはもう。閣下は暴走した軍人たちから、彼女を救い出した過去がありますゆえ」



 トゥルーデか、あの人には今回助られちまったよなぁ。


 俺の【創造術式】は万能じゃない。何かを作り出そうにも、素材はもちろん必要になるし、完成までの工程がよくわからんようなものは無理だ。


 今回の場合だと、蚕糸から生地は作れても、着色料が謎だから無地しか作れないって感じだな。付け焼刃で学んでも、本職のクォリティにはきっと及ばないだろう。



「トゥルーデには改めて感謝せねばな。ではラフムよ、どんな衣装がいいか言ってくれ」



 と言って、俺はメモ帳とペンを取り出した。

 実は【創造術式】のイメージ訓練のため、高速模写ドローイング技術を身につけているのだ。

 これが意外なところで役立っている。



「要望をもとに俺が図にして、マーサに生地を切らせて仮縫いしてもらう。それを俺が【創造術式】で素早く本縫いすれば、一着完成というわけだ」



 このコンボのおかげで既製品を大量生産だ。

 突然貧民2000人を抱えることになっても、衣類不足には陥らなかったぞ。

 


「やっぱりすごいのだ閣下! それじゃあラフム、ウルス女華服がいいのだ!」


「ほほう」



 これまでの戦争で王国側にも侵略を掛けたことがあるから知っている。


 ウルス女華服というのは、こちらの国でいうメイド服のことであり、そのデザインはほぼチャイナドレスだったはずだ。


 偶然の一致なのか俺以外に転生者がいてデザインしたのかは知らないが、まぁイメージしやすくていい。


 俺はさっそくメモ帳にラフムを雑記し、そこにチャイナドレスを着せていった。



「あ、ラフム窮屈なのは嫌なのだ。おっぱい丸出しでいいのだ」



 なるほどおっぱい丸出しでっと…………って、はぁ?



「でも乳首は閣下以外に見せたくないから、乳首になんか貼り付けるのだ。あ、縁起のいいお札がいいのだ!」


「札とな……」



 ウルス王国で札といえば、キョンシーの頭に張り付けてあるようなアレのことだな。



「とりあえず、書いてみたが……」



 俺のメモ帳には、おっぱい丸出しのチャイナ服で乳首だけに札を貼ってるラフムの姿があった。


 ってエロイラストじゃねーかッ!? お前こんな痴女衣装で街を歩く気か!?



「これで隊長閣下をメロメロにするのだぁ~~!」


「お前……」



 はぁ~~やれやれっすわこのエロガキさんは。


 お前そんなアホだから戦犯かまして謀殺されそうになるんだよ。


 おいニーナ、姉貴分として注意してやれ。



「ちょっとラフム!」


「ニーナぁ……?」



 そうそう。



「私だって、閣下を誘惑するんですからね! すみませんメイド服の胸元とスカート丈をもっと短くしてくださぁ~~い!」



 って淫乱毛布がよぉーーーーーッ!

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