妄想少女の証言
有馬佐々
第1話
ビタビタとたたきつける音は、一体何。
カーテンは締まっている。確認をしなかったのは、今思えば失敗だ。そのまま眠りに就こうにも、そんな時に限って眠れなく苦しむの。とても不吉な予感がして、とても悲しくなり、彼女は昔を思い出して枕元で少し泣いた。
彼女が寝返りを打って静かに目を開けると、直ぐ目の前に疲れた優しい寝顔があり、少し安心した。そして、また涙を流してしまった。甘えてばかりで直ぐに怯えてしまうのが、今の小さく弱い彼女である。
恐怖の対象は山程ある。幽霊、呪い、暗闇……そして人間。大人はよく「一番怖いのは人間だ」というが、それは大人になってから気が付かされることであろう。彼女にとっての唯一の恐怖も同じく人間だ。しかし、彼女はとても幼かった。彼女は一括りとして『家族』を怖れていた。恐怖を知ってからは、ただひたすら逃げ道を探して助けを求めるようになった。
彼女は今夜も一人で怯えていた。
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