第7話 破壊 ※過激な描写有

 矛盾同盟のサイバー攻撃によってインターネットを破壊。

 貨幣、流通、労働を全世界同時に禁止。

 違反者は禁固刑、最悪死刑に処される。


 資本主義は終わりを迎え、Googleを含めた大企業は倒産し、AIの台頭によりシンギュラリティの時代を迎える。

 物流は原始的な物々交換へと逆行し、人々の監視の目は消え、他人の幸せにやっかむ事の無意味さを認知していく。


「お前が見せたかった世界はこれなのか」

「……」


「本当にこの世界でお前は生きていて楽しいのか」

「……いいや。まだ終わってない」


「でも、もう勝負はついたんだろ。なあ、早く殺してくれよ。世界を支配して、全てを破壊して……それでもまだ何かあるって言うのか?」


「お前はあの時、俺を殺さなかった」


 俺の言葉に、秋元が目を丸くする。


「あの時……? あの時ってまさか、俺がお前の家に行った時の話か?」


「そうだ。……今度はお前の番だ」

「俺の番?」


「この世界を変えて見せろ」

「無理だ」


「いいや、簡単なことだ。なぜならお前は、もう既にその鍵を手にしている。」

「出来ない」


「なあ、殺してくれよ」

「出来ない!」


 秋元は感情的に、そう、激しく否定する。


 ああ、そうだ。その冷静でない顔が見たかった。


 ああ、なんて、気持ちがいい。


 俺は穏やかな気持ちで、声色で。


「……ほら」

「……」


 自身の首元へ、秋元の手を。


「そのまま力を入れてみろ、そ、う……もっ、とだ……」

「……っ」


 全てを破壊する、気持ちよさ。


「はは……っ、幸せ、だな、ぁ……っ!」

「…………っ!」

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