第2話 突然のモテ期!? 恋の嵐に戸惑う魔法使い

カイト・ウィンドソアの魔法学園生活は、順風満帆に進んでいた。彼の斬新な魔法理論と実践力は、教授陣からも高く評価され、学園中の注目を集めていた。


ある日の午後、カイトは中庭のベンチで魔法の研究ノートを広げていた。


「カイト! また新しい魔法を考えてるの?」


明るい声と共に現れたのは、エレナ・ファイアブルームだった。彼女の赤い髪が陽光に輝いている。


「ああ、エレナ。実は風と水を組み合わせた新しい魔法を考えているんだ」


カイトは熱心に説明を始めた。


「風の力で水分子を操作し、霧状にすることで、広範囲に効果を及ぼす魔法だよ。例えば、乾燥した土地に霧を発生させて農作物を育てたり、火災の消火に使ったりできるんじゃないかと思うんだ」


エレナは目を輝かせて聞いていた。


「すごい! それって、私たちの国の乾燥地帯の問題解決にも使えるかもしれないわね」


二人は熱心に議論を交わし、魔法の可能性を探っていった。その姿は、周囲の学生たちの目にも映っていた。


***


翌日、カイトは教室に向かう途中、不思議な雰囲気に包まれていることに気づいた。廊下を歩く女子学生たちが、彼を見るたびにクスクスと笑い、話しかけてくる。


「おはよう、ウィンドソアくん!」

「カイトくん、今日の放課後、一緒に魔法の勉強しない?」

「ねえねえ、カイトさん。明日の魔法実践の授業、隣の席空いてるかな?」


カイトは戸惑いながらも、丁寧に応対した。教室に入ると、親友のマックスが笑いを堪えながら近づいてきた。


「おいおい、カイト。お前、一晩でモテ男に進化したのか?」


「え? 何のことだ?」


マックスはニヤリと笑って、スマートフォンのような魔法通信機を見せた。そこには、昨日のカイトとエレナの様子が写った画像が表示されていた。


「お前とエレナの『デート』写真が学園中で話題になってるんだよ。二人で熱心に何かを語り合う姿が『理想のカップル』だって」


カイトは顔を真っ赤にした。


「違うんだ!あれは単なる魔法の研究の話で……」


「まあまあ。でも、これでお前にもチャンスが来たってことだ。エレナとの仲を進展させるチャンスだぞ」


カイトは複雑な表情を浮かべた。確かに、エレナのことは好きだ。しかし、前世でのトラウマが頭をよぎる。


「俺には、恋愛なんて……」


そんな会話の最中、教室のドアが勢いよく開いた。


「カイト!」


エレナが息を切らせて駆け込んできた。


「大変なの! 私たちのこと、みんな誤解してる!」


カイトは苦笑いを浮かべた。


「ああ、知ってる。でも気にすることはないよ。そのうち収まるさ」


エレナは少し安心したような、少し物足りないような複雑な表情を見せた。


***


その日の午後、カイトは図書館で新たな魔法の研究に没頭していた。突然、涼しげな声が彼に話しかけた。


「あら、あなたがカイト・ウィンドソアさん?」


振り向くと、そこには氷のように透き通った青い瞳を持つ美しい少女が立っていた。


「僕がカイトだけど……、君は?」


「リリア・フロストブルーム。氷属性魔法を専攻しているの」


リリアは優雅に自己紹介をした。


「あなたの風の魔法理論に興味があるわ。私の氷の魔法と組み合わせれば、面白い効果が生まれるんじゃないかしら」


カイトは興味を示した。


「そうだね。例えば、風で氷の結晶を操作して、複雑な形状の氷の造形を作ることができるかもしれない」


二人は熱心に議論を始めた。その様子を、図書館の入り口からエレナが複雑な表情で見つめていた。


***


数日後、カイトは学園の天文台で星座の観測をしていた。魔法の詠唱には星の位置が影響するという理論を検証するためだ。


「ふむ、今夜はカシオペア座が綺麗だな」


「素敵な星座ね」


突然聞こえた声に、カイトは驚いて振り向いた。そこには、銀色の髪を持つ神秘的な雰囲気の少女が立っていた。


「び、びっくりした。君は?」


「アリシア・ムーンライト。占星術を専攻しているの」


アリシアは穏やかに微笑んだ。


「あなたの魔法理論と占星術を組み合わせれば、新しい魔法体系が生まれるかもしれないわ」


カイトは興味深そうに聞いた。


「例えば、どんなことが?」


「星の位置によって魔法の効果を増幅させたり、未来予知の精度を上げたりできるかもしれないわ」


二人は夜遅くまで議論を交わした。


***


翌日、カイトは頭を抱えていた。エレナ、リリア、アリシア。三人の美しく才能あふれる少女たちが、彼の周りに集まってきている。しかも、それぞれが彼に好意を寄せているらしい。


「どうしたらいいんだ……」


カイトは溜息をついた。前世でのトラウマが蘇る。恋愛に不器用な自分が、こんな状況にどう対処すればいいのか。


そんな時、学園長から呼び出しがあった。


「カイトくん、君の才能を生かして、学園祭で新しい魔法ショーを披露してほしい」


カイトは驚いた。


「え?僕がですか?」


「ああ。君の斬新な魔法理論を、多くの人に知ってもらいたいんだ」


カイトは考え込んだ。そして、ふと閃いた。


「分かりました。エレナさん、リリアさん、アリシアさんと協力して、四属性を組み合わせた新しい魔法ショーを作ります」


学園長は満足そうに頷いた。


「素晴らしい! 期待しているよ」


カイトは決意を新たにした。この機会に、自分の気持ちも整理しよう。そして、大切な仲間たちとの絆を深めていこう。


学園祭まであと一ヶ月。カイトの新たな挑戦が始まる。

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