トラウマ

 あるところに、生い立ちに同情してくれた人たちがいた。


 同情してもらえた人はその人たちに愛想良く応えて、興味のある約束を守りたくても、興味を示したり守ろうとしたら嫌がらせをしてくる人がつきまとって、人を使って嫌がらせしているから何も出来ないでいた。


 付きまとって嫌がらせをしている人は、小学生の頃、何を書いてもうまくいかないようにすると怒ったあの人だ。


 大人になって、いろいろあったあと素直に謝った後うまく煽って乗せてきて、父親を殺させようとしてきた人。小説の面倒を見るといっていたのに面倒も見ず、結婚したら女遊びができないからといって、忙しくなるからと嘘をついて遊びまわっていた人だ。


 同情してもらえた人は何度も興味を持った人や作品に嫌がらせをされ、天秤にかけられ続けていたある日のことだった。


 少し厳しめの態度だったドラゴン好きな人が急に優しくなった。


 同情してもらった人は裏でどんな話をされているか知っていたから、同情してくれた人たち、裏がある人たちの応えてはいけない、乗ってはいけない勧誘があり、それに関しては無視してようと思っていたけれど、厳しい態度だった人は厳しい態度をとることで危ないと忠告してくれていた人だった。ちゃんとわかっていたから、厳しい態度だったことは何一つ嫌ではなかった。


 むしろ、助けようとしてくれているのだと感じられていたくらいだった。


 そんな人が急に優しい態度になったものだから、ギャップと温度差でくすぐったくて思わず突き放してしまった。


 おまけに、思わず笑ってしまうようなやり取りを仕掛けてきて、本当はすごく楽しくて仕方がなかったけれど、その人とその人の大切な人が、天秤にかけられたり性悪してくる人の標的にならないかが心配で、素直になることが出来なかった。


 本当はすごく仲良くなりたかった人だった。奥さんもろとも。


 またしても、嫌がらせしてくるやつが天秤にかけるあれがはじまった。


 最初はとんでもない天秤だった。


 仲良くなりたいと心から願った人が、意地悪な人の罠に引っかけられたと聞こえてきたのはすでにことが終わってからだった。そしてそのあと、その人が私のために何をしたのかが聞こえてきて物凄くショックだった。


 心からショックな出来事だった。


 私のせいだ。私のせいで優しい人が犠牲になる。


 意地悪な罠に引っかかったその人は、どうして私が誰の提案も優しさも受け取ろうとしないのか理解したと聞こえてきて、本当に申し訳なくなった。


 本当に悪いと思った。意地悪されているのを誰にも言わなかったのは、怒った人たちを止めてくれていたのが聞こえていたからだ。


 私のせいで死んだんだと怒っている人々を止めるとき「親父が死んだのはあのときの子かってショックを受けながら勝手に死んだ」とか笑いながら言っているのが聞こえていたからだ。


 少なからず恩を感じていたし、仲良くなろうと気遣ってくれている人たちのことも嫌いじゃなければ、裏で可哀想なやつをもっと可哀想にしようとしている気持ち悪いやつがついていなければ素直に仲良くしたかった。


 だから、興味を示さないよう、仲良くならないようにずっと我慢していた。


 私が良いやつでいるのも気にくわないようで、ずっと邪魔され続けてきたのもある。


 だから素直に仲良くなれなくて、巻き込まれて欲しくなかったから手を取れなかった。


 でももし叶うなら、ドラゴン大好きなあの人と仲良くなりたい。叶うことがない願いだけれど。


 次は厳しかったのに優しくなった人と、なんか様子がおかしいと気づいた人での天秤だった。


 厳しかった人は私の恥ずかしい気づかれたくないもの……性癖に気づいていた上に、すごく魅力的な提案をしてくれたけれど、性癖が当たってるのがばれて欲しくない上に、嫌なやつが関わってるから酷い目に遭って欲しくなくて手を取れなかった。


 一方で、気づいた人は言われたら嬉しいことを言ってくれたけれど、あんまり嬉しくない提案がついてきていた。


 そのあとは二人とも嫌な目に遭わされたらしい。


 すごく嫌な出来事だった。


 ただ、誰にも気を遣わず選べるなら、恥ずかしさとか無視して選ぶなら友達になろうとしてくれた人の方がいいし、死なないでほしい。


 何も悪くないのに罰を受けたり死んだりしないでほしい。


 見た目は全然悪くないしむしろ可愛くて良いと思う。心無い人たちの誹謗中傷なんて気にしないでほしいと心から思った。


 ストーカーされてるとか言い始めた勘違い野郎を選ぶことは絶対にない。


 すごく後に厳しかった人の友達も巻き込んだのを知った。


 私はその人たちに関して一つも怒ってない。


 巻き込まれてほしくなくて、嫌な目に遭ってほしくなくて突き放しただけだった。


 なのに、あろうことか厳しかった人の友達一人のせいにしようとしていて物凄くショックだった。


 人間は醜くて汚い。


 何もかもに絶望した瞬間だった。


 悪夢のようなトラウマのような出来事がまだぐるぐる回っている。


 助けようとしてくれた人の手を取れないようにされたことも、仲良くしようとしてくれた人たちに嫌がらせをされたことも、どっちかを選ばないと死ぬと言われたことも、全部がトラウマになっている。


 そんな目に遭わずに気楽に仲良くなれることがどれだけありがたくて心に良いことなのだろう。


 それに、一つも悪くない人が罰を受けるのは嫌だ。かといって、嫌なやつ、選びたくない人が死ぬのも嫌だと思わされるできごとだった。


 誰にも死んでほしくない。


 果たして同じ目に遭ったことのある人はどれだけいるだろうか。


 誰かが犠牲になったり殺されるくらいなら私は一生孤独で良いと思っている。


 そんな悪夢のようなトラウマになるお話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る