引きこもりで人見知りな僕と、清楚で可愛い生徒会長。
蜂鳥タイト
第1話 清楚で可愛い生徒会長
とある学校の校門の前で1人の女の子がお辞儀をしながら挨拶をしている。
「皆様おはようございます」
まるで清楚かつ可愛いお嬢様みたいだ。
「あ、生徒会長おはよう! 今日もかわいいね!」
「おはよう! すっげー可愛いぜ」
「キャー!! 生徒会長! 今日もピュア! 清楚! かわいい!!」
彼女はこの学校の生徒会長。
その容姿・性格・仕草すべてが周りからものすごく好かれている。
なんなら、この生徒会長を見るためだけに登校してくる生徒もいるらしい。
というか、もうアイドル並みの人気である。
「皆さん、毎日本当にありがとうございます! これからも頑張りますね! あら、おはようございます。明くん」
急に呼びかけられびっくりしてしまう。
なぜ僕の名前を知っているのか?
そういえば入学式で緊張したままスピーチしたっけ。
それでか……
「ぁ……その……おはようございます。せんぱ……生徒会長」
ついつい僕は、頭を軽く下げ逃げるように離れてしまった。
僕の名前は
そして先ほど、挨拶をしていた人は
海星楽高等学校2年生であり、生徒会長。
まぁ、しっかりと超有名な白崎家のご令嬢。
つまり本物のお嬢様だ。
あと、清楚でかわいらしく、男女関係なく常にモテモテというのは見てわかるレベルである。
とはいえ美人系とも違う。
そこが生徒会長の一番の魅力だろう。
「おう! 明! おはような!」
ドン! 背中から衝撃があった。
どうやら手でたたかれたのだろう。
まぁ誰がやったかは声でわかる。
「うわ! 大ちゃん……おはよう……びっくりさせないでよもう……」
後ろから急に話しかけてきたのは、昔からの幼馴染であり、大親友の
僕とは真逆で、よく遊びに行ったりイベントに行ったりすることが多い、いわゆる陽キャ? に近いと個人的に思う。
ちなみに僕は大和君のことを【大ちゃん】と呼んでおり、とても信頼している。
「今日も生徒会長可愛いよなぁ」
大ちゃんが生徒会長を見つめている。
「まだ入学して1ヶ月だけど……」
そう、僕たちはまだ入学してから1ヶ月ほどしかたっていない。
「そこがいいんじゃないか! 1ヶ月しか見てないのにここまで目を奪われるなんてな! ほら告白するんじゃないか!? あの人」
大ちゃんが指を指しているところを見る。
そこには片膝をついて、花を持っている1人の男の人がいた。
まぁ、確実に先輩だろう。
僕たちのクラスでも、生徒会長に告白する!
みたいな話はすでに出ているが……
「こんな人前で告白なんて、あの先輩なかなかやるなぁ」
大ちゃんが感心して、鼻を鳴らしている。
しかし……
生徒会長はそのまま頭を下げ、手で花を押しのけた。
「断られた?」
僕は大ちゃんの方を向く。
生徒会長は再び挨拶活動を再開していた。
男の人はそのまま固まってしまい、銅像のように動かなくなってしまった。
「みたいだな。ださ」
「大ちゃん、一応先輩だよ」
聞かれていたらどうするつもりだったのか……
というか大ちゃん、さっき鼻ならしてたよな??
「聞かれてないからオッケー! というか、あんな可愛い顔して! 清楚な性格で! お嬢様で! 皆憧れの生徒会長! なのに彼氏いないわけがないだろ」
そう、まさしく完璧な生徒会長なのだ。
「そりゃそうだよね」
少しでもチャンスがあると思ってしまった僕がバカだった。
「なんだ?明もしかして……」
まずい、この男には、ばれてはいけない。
実は入学式の時に一目惚れしてしまっており、生徒会長と一緒にいたいとずっと考えている。
だからこそ、離れようと努力しているのだ。
「そんなわけないじゃん! むしろ僕なんかよりほかの人のほうがあってるよ!」
言ってて悲しくなってくる。
まぁ本音なんだけど。
「あはは!確かにそうだな!」
大ちゃんはげらげら笑う。
おい、人の心ここにあらず男。
「なんかむかつくな」
ついつい本音が出てしまった。
「でもチャレンジは大事だぜ」
大ちゃんはウインクしながら親指を立ててきた。
あおってやがるこの人……
そんな大ちゃんには! 必殺!!
「そんな親指立てても、説得力無いよ、
告白10連敗君」
僕は、大ちゃんの右肩に左手を乗せた。
そう、小学生から中学生のころ大ちゃんは、ところかまわず告白して、10人全員に振られ僕に泣きついてきたことがある。
「それは忘れろって……練習のためだ! それに! それは小学校と中学校合わせての話だろ!」
「結局振られてるじゃん」
そんな会話を楽しみながら教室に向かっていく。
こういう会話が一番楽しい。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。
「はい! 今日はですね部活説明会をこれから始めます。先輩方順番にどうぞ~」
先生の言葉に先輩たちが入ってくる。
次々と部活の説明をしてくれるが……
「明はどうするんだ?」
大ちゃんが振り返ってくる。
真理奈先輩がいれば考えたのだが……
「部活かぁ……今のところやりたくないなぁ……」
そう、引きこもり人見知りの僕には縁のない話である。
ちなみに席は、大ちゃんが先生にお願いして、一番後ろの廊下側かつ、前の席に大ちゃんを固定で座らせてもらった。
先生と、大ちゃんには感謝である。
結局その日の部活は決まらず、僕と大ちゃんはそのまま帰ることにしたのだった。
≪真理奈視点≫
「皆様おはようございます~」
私は校庭で1人挨拶活動をしている。
生徒会長という立場なので、まずはこの学校に来てくれる人を増やさないといけない。
という名目のもと、私が挨拶活動をすることになった。
そうして私が校庭に来てからというもの、休む人が極端に減ったと先生から報告を受けた。
すごくうれしい。
ただ……
「今日もかわいい!」
「キャー!! 生徒会長! 今日もピュア! 清楚! かわいい!!」
など、まるで私がアイドルみたいな盛り上がりになっている。
いや……私アイドルではないのですけど……
そんなことを考えながら笑顔で挨拶していると、前から歩いてくる男の子がいた。
男の子は、挙動不審で頭を下げて歩いている。
あの子は確か……入学式で挨拶してた子? 名前は確か明君だったはず……
「……あら、おはようございます。明くん」
私が声をかけると、男の子はびっくりしたのかあたりを見渡し、私を見ると頭を何回も下げてきた。
身長は私より低いので、おそらく160cmくらいだろうか?
「ぁ……その……おはようございます。せんぱ……生徒会長」
男の子にしては、かわいい系の声である。
ただ何よりも……
人前苦手っぽい感じなのに顔がかっこよすぎる。
たった1回見ただけなのに、このような気持ちになったのは初めてで、私は少し困惑してしまう。
しかし、気が付いたらもう明君の姿は無く、奥で友達? の男の子と話していた。
「……もう少しいてくれても良かったのですよ……明君」
私は誰にも聞こえないような声量で呟く。
その後、何か告白されたような気がしたが、適当に断っておいた。
今の私の頭には、明君の声と顔がずっと残っている。
あんな声と顔さらに性格での3大ギャップを見せられたら……
「はぁ……どうしたのでしょうか……私」
そう呟いてから挨拶活動に専念する。
この思考時間はわずか数秒。
完全に一目惚れをした出来事であった。
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