確認

第2話

あなたはコード21241126nonーJPとして生を受けました。

そして母親、チョコブラウニーを作ることが得意な、女性に『音緒ネオ』と名付けられます。

父親はおらず、単為生殖技術によって生まれました。

貧しいながらも、ヨジョウハンの暖かな光に満ちた空間で、あなたはすくすくと育ちました。


第一教育所に入ったあなたは、そこで一人の男の子に目を付けられます。

その男の子はあなたのことを無視したり、おもちゃを隠したりします。

あなたはじっと我慢します。泣いたり、怒ったり、助けを求めることはしませんでした。なぜならそういったことを知らなかったからです。


ある日家の白い壁に、爬虫類の一種であるヤモリが止まっていることがありました。

「お母さん、あれは何?」

お母さんは、あなたの質問に、毎回ブラウニーを作る手を止めて答える人でした。

「ヤモリよ。家守と書くから、家を守ってくれているのよ」

あなたはそこでヤモリが大好きになります。


ヤモリは一か月後殺されました。

その男の子がすりつぶしてしまったのです。

あなたは目の奥がチカチカしました。腹の底が熱いような、冷たいような感覚になりました。

あなたはその子を殴りました。

その日、ヨジョウハンの暖かな光に満ちた空間に、治安当局が訪れました。

あなたはそれからの第二教育所、第三教育所で過ごす期間を矯正施設で過ごしました。


お母さんは、毎日チョコブラウニーを届けてくれました。

雨の日も、風の日も。五年間それは続きました。

タイフーンが来ていた時も、お母さんは、矯正施設の門をくぐりました。

冷たい光が一筋、コンクリートに埋め込まれた道路を、吹き飛ばされそうになりながら歩いていました。

決められたプログラムに沿って動く全自動トラックに、お母さんは、轢かれました。

持っていたのはチョコブラウニーでした。


矯正施設で、あなたは知りもしない、くたびれた、謝り慣れた大人から、そのことを聞きました。


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