第50話ーアペタイザー
用意されていた水を口に含みながら五人で他愛も無い雑談をしていると、料理の載ったトローリーをハス様が笑顔で押して来た。
トローリーに載っているのはタコの料理と、如何にも高級そうなカクテルグラスに入った飲み物だ。
「待たせたっすね。今回の
五人の手前に置かれていく前菜には、切り分けられたタコの刺身と赤い牛肉、そしてグリーンサラダが盛り付けられており……それらが光り輝くクリーム色のドレッシングを纏うことで、料理を一つの芸術へと昇華させていた。
それを形容するならば『夜空に浮かぶ牡牛座』の他には言葉が無いだろう。
しかし……妙に高級感溢れる内装と料理に、四人の緊張度は限界突破目前で腑抜けた言葉を漏らす。
「「「「…………おっふ」」」」
「ははは!なんて声出してるんすか!気に入ってくれたなら嬉しいっす!このカルパッチョ、ベースはマヨネーズで後は酸味の強いモノを混ぜてるんすよ。ちなみに、牛肉はちゃんと調理されているので安全っす」
「良いね!やっぱりハスターの料理は何時も美味いし、美しい……最高だよ」
「料理人冥利に付きるっす!」
料理を褒められたハス様はニャル様に微笑むと、続いて飲み物をそれぞれに配った。
「カルパッチョは柑橘系が合うんすよ!なんで……飲み物はノンアルコールカクテル、シンデレラっす!オレンジジュースとパイナップルジュース、そしてレモンジュースをシェイクしたもので、レモンジュースを混ぜることで甘すぎず纏まった風味になるんす!結構有名なノンアルコールのカクテルなんすよ」
「…………………………」
高級そうなカクテルグラス&ノンアルコールカクテルという経験したことの無いセレブ感溢れるそれに、The庶民派の蒼は魂が抜けたような顔をして……灰となって消え去ったのだ。
「「「「「し、死んだあああああああ!!!」」」」」
「無理も無いよ……これは
「あたしを置いて逝くなんて……蒼のバカ……」
「まさかコレ程までに蒼が庶民派だったなんて……私、知らな……知っていたわね……」
「死んだ蒼っちを生き返らせることは、神であるボクにも出来ない……くっ……」
「蒼くん、お悔やみ申し上げるっすよ……」
「「「「「さて、食べますか」」」」」
「酷くねっ!!!???」
ーーー
祝50話!!
50.5話に続く!
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