第27話ー神との友情
腕を組みぷりぷりしながら怒るニャル様を二人は宥めつつ、更なる雑談に花を咲かせようと樹は奮闘した。
「うわー!ニャル様カッコイイ!!威厳たっぷりー!!すごーーい!!」
「樹……それは…………」
「樹、それは煽りかな?んー????」
「べっ!別に煽ってなんか……うぅ……」
口に詰まる樹にニャル様がケラケラと笑うと、樹はむぅっとした表情でほっぺを膨らませる。
その表情は温泉の程よい温かさにやられたのか、少し赤っぽかった。
「にゃはははは!!ジョークだよ!ジョーク!君たちホントに素直だね!!にゃははは!」
「むぅ…………」
ほっぺをハムスターみたいに膨らませる樹に、ニャル様と蒼は((かわえぇ……))と心の中で思いつつ、そっぽを向く樹に次なる話題をニャル様が投げかける。
「そ、そういえばさ樹……」
「ん?何?ニャル様」
「一回目の干支の問題、どうだったかなぁ……って?」
「あー……結構楽しかったよ?」
「楽しかったのはさ聞いてたから知ってるんだけど……謎解きの内容とかね?ここ難しかったーとか、ここ気になったーとか。蒼もさ、そうゆうのある?」
ニャル様の質問を聞き、謎解きの事を振り返る二人。
んー……んー……と暫く考えた二人はやがて考えるのを辞め、樹が先に質問をする。
「んー……僕はさ、結局、なんで答えが一月一日なのか気になった……かな?鼠月の鼬日だとしても、鼬だけが言葉遊びの史実で、鼠は物語での順位の一位が数字として来たのかなーって……」
「あそこはさ……君たちが悩んだ通り、一月十三日と一月一日の二択で作ったんだよ。前者は一位月の十三位日。後者は一位月のつイタチ日」
「まぁ、そうだね」
「ここで思い出して欲しいのが、鼬に対して神が温情を与えたことだね。そこも答えのヒントになるんだよ。だってさ、そもそも
「確かに……でもさ、鼬で一日に結びつくヒントは無かったよね?一日って呼び方がヒントなしの知識で出て来なかったら、解けなかったんじゃない?」
「それね、君たちの推理観ながらボクも思ってた……本当に陽葵ありがとうって感じ」
頭に載せてるタオルに手を伸ばし顔の汗をポンポンと拭きながら喋るニャル様に、同じく頭に載せてるタオルで顔の汗を拭いた蒼が会話に割って入る。
「それ関連でもあるんだけどさ……猫と鼠じゃなくて、一日関連のヒントだせば良かったんじゃね?正直さ、猫と鼠要らなくなかった?」
「まぁ……あれは正直なくても良かったかも?」
「グハッ!確かに……」
「でもさ、樹と二人で話してたんだけど……ニャル様は初めて謎解きを作ったんだろ?」
「ま、まぁね……」
「ならさ、ぜんっぜん上出来だと思う。確かに直した方が良い所もいくつかあったけど、最後に楽しかったって言い合えたんだから結果オーライだよ」
「結果オーライだね!」
「君たちぃ…………」
ぐすんと感動を顕にしているニャル様に二人はニコリと笑い、温泉から立ち上がった。
「そろそろ上がろっか」
「結構入ったもんね」
「それに女子二人も上がってるかもしれないからね。それじゃあ行こっか、『蒼っち』と『いっちゃん』!」
ニャル様が蒼のことを蒼っち、樹のことをいっちゃんと呼ぶと二人は笑う。
「蒼っちといっちゃんって」
「でもなんか良いねそれ!」
「うん、友達って感じ」
「でしょー?」
何時しか仲良くなっていた三人は横に並らびながら楽しげに談笑し、誰もいない静かな浴室には三人の笑い声だけが木霊した。
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