第21話ー【干支の謎】鼬と温情
「
「うん」
「
「まぁ、そうだね。そもそもこの文字は、神様みたいな絶対的な存在に使うものだしね。でもさ、この謎の主……いいや、問題に対してだけは主にとある文字が付くんだよ」
「語が付いて主語になるんだろ?」
樹が唱える自説に対して、蒼は切り込んでいった。
「あぁーっ!!月日の主じゃなくて、月日の文章の主ってこと?!だから主語か……」
「うん。あるじって読んじゃうから分かりずらかったけど、多分そういうことだと思う」
「てことはさ、月と日のそれぞれの文章の主語の動物を探せば良いんだから……」
「月の主語は鼠で」
「日の主語は鼬だね」
「で……月は月、日は日にちを表しているから、鼠月の鼬日になるってことか」
鼠月の鼬日まで進んだ三人。
しかし、鼠月の鼬日が何なのか見当もつかなかった。
「んー…………鼠が一位で鼬が十三位だから、一月十三日とか?」
単純に順位を当てはめてみる陽葵。
「そう、なのかな?鼠月と鼬日だとして、当てはまる数字の要素が分からない……」
数字の要素が曖昧で悩む樹。
「何か引っかかるんだよなぁ……」
問題を見返しながら何かに引っかかる蒼。
「すぴーすぴーすぴー……」
可愛らしい寝息を立ててる綾華。
そんな、長いようで短い停滞を破ったのは蒼の一言だった。
「俺らさ、まだ解いてない要素無いか?」
「んー……全然あると思う」
「そうだなぁ……特に、鼬に関しては分からないことが多い印象はあるね」
「陽葵もそう思う?そうなんだよね。鼠が狡い動物だってことも分かるし、猫が騙されて逆恨みするような愚かな動物だってことも分かる。だけど、鼬が優しい動物だって理由がまだ分かってないんだよ……」
「分かってないと言えば真っ直ぐな動物もだけど……真っ直ぐな動物に関しては、必要なさそうだし良いよね」
「鼬のことなんだけどさ、鼬って言えば……ここ、二番目の最初の方『勘違いした優しき動物は神の温情により報われた』ってあるじゃん?この温情って結局何だろーな?」
陽葵は問題の二番目に指を差して、疑問を呈した。
その疑問に対して蒼と樹は何かが分かったのか、熟考を始めた。
「途中まで背景ストーリーは必要ないと思ってたけど、全然そんなことなかったんだよな……温情、温情かぁ?」
「鼬、いたち、イタチ……イタチ、日。んー……?」
「鼬日か……ねぇ、温情に関係あるか分からないけどさ。一日って、つイタチって言うよな」
「「それだああああああああ!!!」」
陽葵の思いもしない一言によって、蒼と樹が大声を出したが、その声はあまりに響きすぎた為、床に寝かせられていた綾華が目を覚ました。
「んー……!!ふぁーーーーっ………………」
―――
○今ある情報
・紙とペン一本
▶︎紙は謎解きの問題
▶︎4人分無いのは不自然
▶︎ペンはカレンダーに印を付ける用?
・天井
▶︎太陽と月のイラストが描かれている
▶︎問題の三番目の文章と何か関係が?
・カレンダー
▶︎謎解き用アイテム
▶︎南側にある棚の中にあった
▶︎大きさは手持ちサイズで小さめ
▶︎つ鼬。ついたち?
・銅像
▶︎謎解き用アイテム
▶︎銅像の裏の壁に愚か者、優しき者、12位……1位とある
▶︎数ある干支物語に出てくる動物達だ
▶︎愚かな動物:猫
▶︎優しき動物:鼬
▶︎狡き動物:鼠
▶︎真っ直ぐな動物:?
A)猫▶︎鼬▶︎猪▶︎犬▶︎鳥▶︎猿▶︎羊▶︎馬▶︎蛇▶︎龍▶︎兎▶︎虎▶︎牛▶︎鼠
・神
▶︎ニャル様とは関係なさそう
▶︎動物の順位毎に恩恵を与える存在?
▶︎謎解きに必要な情報かは分からない
・猫と鼠
▶︎赤い本
▶︎ページ数は少なく、中身は絵本
▶︎いつもは宿敵な猫と鼠も手を取り合うことがあるらしい
▶︎何故『猫と鼠』がヒントになると蒼は思うのか?
(干支物語に出てくる動物だから)
【干支について】
昔、時間を決める時に使ったシステムであり、12匹の動物の名前が由来である。12匹の動物は1月から【鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鳥、犬、猪】である。この順番は繁殖力の高い鼠が子孫繁栄を願われていたり、生活的に必要であった牛、虎のように勇ましくなれるように……等の意味があるがここでは割愛。ここでは12匹によってされたと思われる競走についての話をする。ある神様が月の名を決めるために、様々な動物を【1月1日】に呼んで競走させ、その中で取り分け早かった1位から12位の動物の名を使うことにした。結果は上の通りであるが、【鼠は猫を騙し【1月2日】に来るように仕向けたり、その日の前から準備していた牛に隠れて1位になったり】と、様々な事が起こったとされている。
【謎解き】
(一番目)
昔昔のこと、競走をした【14匹の動物】がいる。
その中の1匹は、【愚かな動物】。
その中の1匹は、【優しき動物】。
その中の1匹は、【狡き動物】。
(二番目)
【勘違いした優しき動物は【神】の温情により報われた。】
しかし、騙された愚かな動物には神の手は差し出されなかった。
愚かな動物は狡き動物を許さない。
怒った愚かな者は狡き者の銅像の順番を1番最後にした。
順番を弄った後、満足し愚かな者は帰った。
次の日【真っ直ぐな動物】が本当の順位に直そうとしたため、自分の動物を1番最初に置いた。
次の日順番が変わった自分の銅像を、狡き者は見つけた。
本当は1位なはずの自分が1番最後にいて、そうでない動物が1位にいることに怒り、全体的に変更させた。
次の日全体的に順番の違う銅像を優しき者が見つけた。
優しき者は何も言わずに元の順番に戻した。
それを見て遊び心の沸いた【ニャル様】が順番をバラバラにした。
(三番目)
順番がバラバラになってる銅像を見て全員喧嘩した。
特に愚かな動物と狡き動物の喧嘩は酷かった。
【月の出る夜、狡き動物が怒り狂った愚かな動物に傷つけられた。】
【日の出る朝、優しき動物が狡き動物の怪我を見つけた。】
優しき動物は悲しんだ。
皆に狡き動物が怪我したことを伝えると、愚かな動物にすぐ白羽の矢が飛んでいった。
愚かな動物はすぐに後悔し、認めた。
(四番目)
【もうこんな争いは起きてはいけない。
だから仲直りした、皆全員で。
この日は皆で手を取って楽しく笑った。
1年に1回は絶対楽しくしよう、皆で誓った。
しかし仲直りしていつも楽しく過ごしていると、その日のことを忘れてしまったのだ。】
思い出した者は【カレンダー】に、私達の物語の起源となったその日に印をつけて欲しい。
そして、【銅像の位置】が違う時は直してやって欲しい。
さすれば新たな道が貴方の前に現れるだろう。
【1つ忠告するのならば、まずは月日の主を探すが吉。】
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