第7話ー【干支の謎】挑戦状


 四人がワープしたその部屋には左右の壁に本棚がずらりと並べられており、真ん中には大きい円机と椅子、その奥には銅像らしきものがある。

 部屋の壁紙は水色、高さは約五メートル、幅は約十メートルの正方形、天井には太陽と月が描かれている。

 四人がその部屋を一望し終わると、蒼が口を開く。


「なぁ……一旦椅子にでも座って、ゆっくり状況整理しかいか?」


「疲れたしねぇ」


「確かに、色々ありすぎたからね。蒼の言う通り、ゆっくり話そう」


「OK、そうしましょう」


 四人が机の方に向かうと、机の上にあるポツリと在る紙とペンに気づいた。


「なんだこれ?」


「紙とペンでしょ」


「そういうことなのっ!?」


「いや違うと思うけど……」


「何か書いてないのかしら?」


 蒼と樹のボケに陽葵がツッコミつつ、ボケを全無視した綾華が話を進める。

 綾華に聞かれた蒼は紙を手に取ると、机に伏せられてた側面に文字が書かれているを発見した。


「おい、なんか書いてあるぞ?」


「ん?なんて書いてあんの?」


「読んでちょうだい」


「あいよ。えぇと……」


―――


 【謎解き】


昔昔のこと、競走をした14匹の動物がいる。

その中の1匹は、愚かな動物。

その中の1匹は、優しき動物。

その中の1匹は、狡き動物。

勘違いした優しき動物は神の温情により報われた。

しかし、騙された愚かな動物には神の手は差し出されなかった。

愚かな動物は狡き動物を許さない。

怒った愚かな者は狡き者の銅像の順番を1番最後にした。

順番を弄った後、満足し愚かな者は帰った。

次の日真っ直ぐな動物が本当の順位に直そうとしたため、自分の動物を1番最初に置いた。

次の日順番が変わった自分の銅像を、狡き者は見つけた。

本当は1位なはずの自分が1番最後にいて、そうでない動物が1位にいることに怒り、全体的に変更させた。

次の日全体的に順番の違う銅像を優しき者が見つけた。

優しき者は何も言わずに元の順番に戻した。

それを見て遊び心の沸いたニャル様が順番をバラバラにした。

順番がバラバラになってる銅像を見て全員喧嘩した。

特に愚かな動物と狡き動物の喧嘩は酷かった。

月の出る夜、狡き動物が怒り狂った愚かな動物に傷つけられた。

日の出る朝、優しき動物が狡き動物の怪我を見つけた。

優しき動物は悲しんだ。

皆に狡き動物が怪我したことを伝えると、愚かな動物にすぐ白羽の矢が飛んでいった。

愚かな動物はすぐに後悔し、認めた。

もうこんな争いは起きてはいけない。

だから仲直りした、皆全員で。

この日は皆で手を取って楽しく笑った。

1年に1回は絶対楽しくしよう、皆で誓った。

しかし仲直りしていつも楽しく過ごしていると、その日のことを忘れてしまったのだ。

思い出した者はカレンダーに、私達の物語の起源となったその日に印をつけて欲しい。

そして、銅像の位置が違う時は直してやって欲しい。

さすれば新たな道が貴方の前に現れるだろう。

1つ忠告するのならば、まずは月日の主を探すが吉。

 

―――


「「「「なんだこれ?」」」」

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