なんでもノート
@zelion
日常
第1話 ノートの不思議な力
春の午後、大輔は学校から帰宅し、自宅のドアを開けた。リビングに入ると、心地よい静けさが広がっていた。彼はリュックを下ろし、ソファに腰を下ろすと、その日の疲れを感じていた。窓から差し込む陽光が、部屋全体を暖かく包み込んでいる。
ふと、大輔の目が部屋の隅に置かれた一冊のノートに留まった。そのノートは、表紙が古びており、まるで時代を感じさせるようなデザインだった。彼は「これ、どこから?」と首をかしげながら、ノートを手に取った。
ノートの表紙には何か文字が刻まれているわけでもなく、ただ無地のままだった。大輔はそれを一度テーブルの上に置き、気になりながらも放っておいた。後でじっくりと見てみるつもりだったが、そのままリビングでくつろぐことにした。
夕方になり、大輔は再びノートを取り出した。家族もまだ帰ってきていない時間帯で、静かな部屋の中でノートを開くのは、何だかワクワクする瞬間だった。ページはすべて真っ白で、何も書かれていないように見えた。ノートを眺めているうちに、ふと「何か面白いことができるかも」と思いついた。
「よし、試してみよう」と、大輔はノートを膝の上に置き、ペンを取り出した。簡単な絵を描こうと考え、ノートのページに小さな星形の飾りを描き始めた。ペンで軽く描いた星形が、まるで魔法のように光り始めた。その瞬間、大輔は目を見張った。ノートのページがほんのりと光を放ち、すぐにノートの隣に実物の星形の飾りが現れたのだ。
「これって、本当に現実なのか?」と、大輔は驚きと興奮で息を呑んだ。目の前に現れた飾りを手に取り、何度も自分の目をこすりながら、ノートのページをじっと見つめた。
ノートに描いたものが即座に実物として現れることに、大輔は信じられない思いを抱えながらも、次第に興奮が抑えきれなくなっていった。ノートの力が本物であると確信し、その力を利用して何か面白いことができるのではないかと考え始めた。
「例えば、もっと便利なものが作れるかも」と、大輔は考えた。次にノートに描いたのは、手のひらサイズの自動掃除機のイラストだった。ページが光り、すぐにその掃除機が現れると、大輔はそれを試してみた。掃除機は思った通りに動き、部屋のゴミをしっかりと吸い取ってくれた。
「すごい、これなら毎日掃除が楽になるな」と、大輔は満足げに掃除機を見つめた。彼はノートの力がどこまで使えるのか、さらに探求心を駆り立てられた。
次の日、大輔はその秘密を他の誰にも話さず、自分だけの特別な体験として楽しむことに決めた。ノートを使って、少しずつ試行錯誤しながら、自分の世界を広げていくことにした。学校から帰る途中に立ち寄ったカフェで、ノートに描いたおいしいケーキのイラストがすぐに目の前に現れることに喜びを感じたり、自分の部屋に飾りたいアイテムを描くことで部屋を飾り立てたりした。
その日の夜、大輔はベッドに横になりながら、ノートの使い方について考えた。ノートの力を使うことで、自分の生活がこんなにも便利になったことに驚きながらも、その力をどのように活用するかを慎重に考えようとしていた。
「これからどうしようかな」と、大輔は心の中で呟いた。「ノートの力を使って、もっと面白いことができるはずだ。でも、使いすぎると何か問題が起こるかもしれないし、慎重に扱わないと。」
その夜、大輔はノートを枕元に置きながら、明日の計画を立てた。ノートの力を使って新しい道具やアイテムを作り出すことに楽しみながらも、その力が持つリスクについても頭の片隅に置いておこうと心に決めた。
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