大文字伝子が行く296

誓い

　＝＝＝＝＝＝　この物語はあくまでもフィクションです　＝＝＝＝＝＝＝＝＝

　==============　主な登場人物　================

　大文字伝子（だいもんじでんこ）・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー（平和への案内人）または行動隊長と呼ばれている。。

　大文字（高遠）学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ（アナザー・インテリジェンス）と呼ばれている。

　一ノ瀬（橘）なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

　久保田（渡辺）あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

　愛宕（白藤）みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。

　愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。

　斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

　久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。

　久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。

　橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

　を手伝うこともある。

　西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』

　を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。

　草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

　渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。

　河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。

　増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

　馬場（金森）和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

　高木（日向）さやか一佐・・・空自からのEITO出向。

　馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

　大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

　田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

　浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

　新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。

　結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

　安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

　稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

　愛川静音（しずね）・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

　江南（えなみ）美由紀・・・､元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

　工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

　西部（早乙女）愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。

　伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

　葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

　越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

　小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

　下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

　飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

　財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

　仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

　七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

　大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

　高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。

　青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。

　馬場力（ちから）3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

　井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。

　筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

　新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。

　原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。

　大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。

　藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールで料理教室を開いている。EITO準隊員待遇。

　山村美佐男・・・みゆき出版編集長。

　中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。

　高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。結城警部と警察学校同期。結城の紹介で、馬越と付き合って、結婚した。

　中津（西園寺）公子・・・中津興信所所員で、健二の妻。

　中津（本庄）尚子・・・弁護士。中津興信所、南部興信所に調査を依頼することが多い。中津警部と結婚した。

　中津敬一・・・警視庁テロ対策室勤務の警部。中津興信所にEITO関連で調査依頼することが多い。

　泊哲夫・・・中津興信所所員。

　泊（根津）あき・・・中津興信所所員。

　渡辺道夫・・・警視庁副総監。あつこの叔父。

　橘藤兵衛・・・陸自の陸将。なぎさの叔父。

　市橋早苗・・・内閣総理大臣。移民党総裁。

　高見大臣・・・厚労省大臣。

　依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。以前は宅配便ドライバーをしていたが、今はやすらぎほのかホテル東京の支配人をしている。

　依田（小田）慶子・・・やすらぎほのかホテル東京社長の姪。依田と結婚してからは、副支配人をしている。

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　==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

　==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

　午前９時。EITO本部。会議室。

「ドリフト・アイスは余程お見合いパーティーが気にいっているんだな。」

　夏目警視正は、マルチディスプレイに映されたRedの投稿を見せた。

［お見合いパーティー第七回

　日時：明日午前11時。

　場所：天王洲アイル。シーフォートスクウェア。

　参加者：有限会社ドリフト・アイス有志の男性。

　 EITO東京本部の男性及び女性（妊婦可）。

　来賓：市橋総理

　主宰：ドリフト・アイス

　※結婚式があるそうだから、1日延長してやったぞ。それから、コロニー関係の拉致事件はピスミラではないが、俺は関与していない。何年も待っていられないからな。

　］

「例によって、夜中に『発表』された招待状だ。先に聞いておくが、妊娠している隊員はいるのか？」

「私位なものだろう。他の者の報告は受けていない。」と、須藤医官が入って来た。

「先生・・・おめでとうございます。」と、理事官は言った。

「冗談だよ。まあ、本当ならみんなに報告するがな。酸っぱいものは元から好きなんだ。白藤は、本当に休暇に入ったのだから、たちの悪い冗談だな。『妊娠可』は。」

「作戦会議に入る前に、大阪支部で救出された宮田教授だが、意識混濁状態のままだが、回復次第、事情聴取する。最近、『オマージュ株』に続く、『変異株新種』と言われている『JO.3』だが、敷島徹君の証言によると、そもそもの起点の『俯瞰株』のバージョンアップした『俯瞰株2』と呼ぶべきビールスが『オマージュ株』で、『JO.3』は、『俯瞰株3』と呼ぶべきビールスだそうだ。詰まり、最初から、日本中が欺されていた。厚労省事務次官妹尾がスパイだった。高見大臣はお人好しだから、まんまと操り人形にされていた。変異は、最初の数回しか無かった、と教授は言っている。昨夜遅く閣議決定したよ。スパイ防止法の1つとしての罰則行為としてな、妹尾の奸計は。」と、夏目警視正は改めて言った。

「じゃあ、『風邪の新種』だったが、自然のビールスでなく、人工のビールスであるコロニーは、とっくに第一期収束をしていた、ということですね。あの時のメンバーは罰せられないのかしら？」と、増田が言った。

　夏目警視正は、増田の疑問に補足して言った。「専門家文化会の大海会長、後に京都大学に移り、宮田先生を亡き者にしようとした、『七かけおじさん』こと裏西教授は詐欺及び殺人教唆ほかの容疑で逮捕拘留、総理直属のバイタリティーコードチーム主任も逮捕拘留、高見大臣も引責辞任、那珂国との枠朕協同計画会議も外務省を通じて辞退。市橋総理のやることは迅速で正確だ。那珂国には、高見が不正を働いた為、契約を白紙に戻す、と外務省を通じて連絡したらしい。」

「文字通り、人を食った話だわ。しかし、何者かしら？おねえさま。ドリフト・アイスの言い分だと、違うグループみたいだけど。」と、あつこが言った。

「樹が違うんだろうな。なぎさ、確か『枝』の1人がダークレインボー以外の組織のことを言っていたな。」伝子の問いに、「ええ。じゃあ、そっちとも闘わなくちゃいけないのかしら？」と応えた。

「さあな。だが、直接の兵隊は少ないようだな、半グレと組むということは。総理の警護は、いつも通り、早乙女準隊員と工藤隊員に任せてある。」

　午後1時。ホテルの披露宴会場。

「殺風景だな、この披露宴。」新郎の高崎が言った。

　MCの依田が言った。「新婦の馬越さんを守る為ですよ、高崎さん。」

　出席者は、渡辺道夫副総監、橘藤兵衛陸将、中津敬一警部、中津尚子弁護士、中津健二所長、中津公子、泊哲夫所員、泊あき所員、結城たまき警部だけだった。詰まり、仕事場同僚と近親者のみ。ここは、いつも、『やすらぎほのかホテル東京』ではない。芦屋グループの芦屋グランドブライダルだ。

　午後1時。やすらぎほのかホテル東京。

　結婚式披露宴に来た、男女が第一披露宴会場に入って行く。

　MCの慶子が「では、『新郎新婦』の入場です。」と言うと、後から入った男女が拳銃をその入り口に向けた。

　だが、前からいた男女招待客が彼らに拳銃を向けた。

「こっちの方が人数多いんだよね。待ちかねたよ。」と、久保田警部補が顔を出した。

　翌日。午前9時。総理官邸。

　執務室と廊下には、既に数人の男が伸びていた。

「バイト君かしら？」と、総理が冗談を言い、早乙女と工藤が、にっこり笑った。

　午前11時。天王洲アイル。シーフォートスクウェア。ボードウォーク（第一水辺広場）付近。

「ぜんさいは、あまり頂けない料理だったな。」敵のリーダーらしき男に、なぎさは言った。

「何故？」「何故？スパイ検知システムを知らないのか？スパイすると、自動的に録画される。一種のドライブレコーダーだな。」

「ふざけやがって。やっちまえ！！」リーダーは叫んだ。

　今回の集団は、火炎放射器で攻撃とか機関銃や拳銃で攻撃とかして来なかった。みな、日本刀を持っている。

　でも、なぎさは知っていた。広範囲でオープンだからこそ、却って、死角が多いことを。

　運河をモーターボートが走ってきた。

　バトルロッドとバトルスティックで闘い始めた時、モーターボートからロケットランチャーで狙う人物がいた。

　だが、その付近にいた釣り船から矢がモーターボートに跳んできた。

　田坂達の弓矢隊だ。

　バイクが四方から走って来た。

　彼らは拳銃を持っていた。だが、空中から『銛』が跳んできて、蹴散らかした。

　筒井達のホバーバイク隊だ。ホバーバイクとは、『宙に浮くバイク』のことで、民間が開発、EITOが採用して改造、戦闘及び運搬に使っている。

『銛』は、EITOハープーンという武器でホバーバイクに着脱可能な武器だ。

　戦闘が終りかけた頃、立ち入り禁止にしたエリアの筈なのに、ナイフを突きつけられた男女が、集団の仲間らしき男達に連れられて来た。

　どこからか、ブーメランが跳んできた。金森とあつこが上の階から投げたのだ。

　開放された男女が、エマージェンシーガールズの方に走ってきた。

　即座に、2人は倒れた。あかりと下條が投げたメダルカッターが足に当たったのだ。

　メダルカッターとは、押すとプロペラ状の刃が飛び出す武器で、先端に痺れ薬が塗ってある。

　彼らの『猿芝居』は見抜かれていた。スタンバイした時からあつこ達は見ていたからだ。

　1時間後。闘いは終った。なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。

　長波ホイッスルとは、犬笛に似た簡易通信機で、控えている『片づけ隊』に合図を送る。

　警官隊と到着した愛宕は言った。「ここで昼飯食って帰りたいな。」

「警部。笑えませんよ。私もそう思ったから。」と、橋爪警部補が言い、西部警部補が同調した。

　午後5時。伝子のマンション。

　PCを起動させ、ディスプレイに向かった高遠は久保田管理官から進捗を受けていた。

「君は、やはり、本物のエーアイだね。敵で無くて良かった。作戦は終了。高崎達は、もう1日、芦屋グループのホテルに泊まるらしい。副総監と直に話せて良かったと言っている。総理は、コロニー総括の記者会見を明日、リモートでやるらしい。私も同席する。それと、今夜は帰宅するそうだ、大文字君は。たまには息子に会ってやってくれ。あつこ君も、おさむ君に健太郎を見せたいそうだ。」

「分かりました。」画面が消えると、玄関に綾子と藤井と山村編集長が立っていた。

　にっこり笑って。

　高遠のスマホが鳴動した。

　―完―