第118話
「マリイン=リッジさん、【
「完熟が八個。完熟の一歩手前が十個、念の為に青みが残るのを五つ穫ってきたよ」
「追熟って魔法は有りますか?」
「追熟以前に完熟まで自然任せにするから、そういった魔法やスキルに頼ったことがないんだよ」
残念、追熟の魔法はないのか。前世の知識だと、リンゴやバナナと一緒にしてエチレンガス効果を利用するとか、暖かいところに置くとか、焼酎で柿の渋抜きをするとかを聞いたことがある。あ…暖かいところに置くって、パイク=ラックさんの秘匿魔法こと『温度調整』の加温の方で試せるかもしれないぞ。
念の為、【
【
!? 鑑定結果の解説が増えてる。俺の知識が増えたせいなのか簡易鑑定さんが育ったせいなのか。でも、追熟情報は俺の知識外なのでは?
「ミーシャ、難しい顔をしてるけど、何か思い付いたとか?」
「これは…、その、あくまでも想像というか実験の域を出ていないんですが、未熟な収穫物を暖かいところに置いて追熟する事が出来るんじゃないか…?って思い付いたんです」
「追熟はともかく【朝顔芋】なんかは暖かい所に保管するね」
「で、念の為【
「本当!? 暖めるって…、もしかしてあれ」
「もしかしなくてもあれです。パイク=ラックさんの秘匿魔法です」
「えっ? 俺の『植物鑑定』だとそこまで情報でないよ。ミーシャの持ってるのって『対物簡易鑑定』なんだよね? 前に言ってた “ レミレシピとの相乗効果 ” が乗ったにしても情報が出過ぎてない?」
「ちょっと待てミーシャ、今、『対物簡易鑑定』の鑑定結果が追加したって言ったよな。それって『対物簡易鑑定』のレベルが上がったか『対物鑑定』に進化したかのどちらかじゃないのか?」
「とりあえず確認は後回しだな。今やるべきはパイク=ラックの秘匿魔法の実験だ」
「うむ…。まさかエールに関わる秘匿魔法で加温を要求されるとはのぅ…」
やはりドワーフは酒が絡むとどこまでも貪欲だ。そしてパイク=ラックさん、俺には貴方がエールを冷やすだけでなく【
「パイク=ラックさん、もし植物魔法で植物育成に働きかける呪文が有ったら、それも併用するとか意識するとか出来ますか?」
「有るといえば有る、無いといえば無い。まぁ試してみるしかないじゃろう……」
「そこは時空魔法か」、「状態の活性化ならば回復魔法の系統か…」、「闇魔法の腐敗系統に何か使えそうな魔法はあるか?」、「いやバフ系なのでは?」、「マジックバッグに時間経過促進の追熟機能を付けられないか?」 ……等と言う声が聞こえてくる。冷却魔法の取得方法談義の時といい、皆、真面目なのか酒が飲みたいだけなのかよく分からない。動機はともかく技術や魔法が発展するからいいのかな?
そして追熟実験はパイク=ラックさんに任せておいて俺は調理を進めることにした。だって時間が勿体ないもん。先ずは特に説明の要らない生姜焼きと唐揚げからだな。
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