第102話

 ――――――― 今回はマリイン=リッジの視点です ―――――――


ミーシャの引率でリンド=バーグとジジイが移動か…。残念だけど仕方ないよね。もう少しミーシャには驚かされたかったけど、あのは早目に保護しなきゃなぁ。職校の生徒って肩書きは良い感じの隠れ蓑だよね。もっと野菜の話がしたかったけど、ここで実験したあと『スワロー』郊外の農場に赴任すればいいかな…って。追加のやらかし情報ならジジイから貰えるだろうし。


いくら『対物簡易鑑定』持ちだからって、【鬱金クルクマそう】と【生薑ジンジャそう】の鑑定結果から根っ子を欲しがるもの? 絶対、何かあるよね。【あか茄子】も品種改良と収穫量の増加を研究しなきゃいけない。【茄子花芋】もかな? 【棍棒芋】もあんな食べ方があったなんて。需要が増えた時に自生種を採取するのは大変だから、まずは畑に植えてみるところからだ。後で種芋掘りからか…面倒くさいなぁ。



あっ、【スライム茸】!! これはヌルヌルしてるけど美味しいキノコ。


そう言えばジジイが「ミーシャに【長胡椒ヒハー】や【ぶな麦】の話をしたのじゃよ」とか言ってたな。もう少し奥に行ったら少しくらいは採れるかもしれない。それ以外にも面白そうな植物は沢山あるし。痺れるやつとか臭いやつとか。



「ジョー=エーツ、【渓流鰮】の川には行かなくていいの?」


「今回はいい」


って事は、もう一つの小川には行くって事か。小魚や川エビが穫れる。【水芥子】も穫れる。【芹】は食べられるけど【毒芹】には要注意。


川エビが穫れたらミーシャは何を作ってくれるのだろうか? ミーシャのことだから素揚げや茹でエビ以外の何かにするに違いない。



レオナルド=ダービーとダン=カーンへの引き継ぎの為の説明はジョー=エーツがしてくれるから、思う存分採取が出来るのは最高!! ここにミーシャもいたらもっと最高で楽しかったんだろうけど、それはそれで収拾がつかなくなる気がするので、多分これで良かったんじゃないかな。ジジイとミーシャと三人で畑で作物を横目に真っ昼間から冷やしエールを飲んだら楽しいんだろうなぁ…。うん、それは『スワロー』の職校付属農園の温室でやろう。今から楽しみだ。


「俺達は仕掛けを確認しておく。奥に行くなら今のうちだからな!!」


ジョー=エーツが叫んでいる。採取は残り一時間弱か…この辺りだと……、【痺葡萄】と後は……、【ぶな麦】を少しだけ発見。ミーシャに見せてあげよう。



そして………ふふふ。有った〜〜。イヤガラセ植物こと【粗相豆】、別名【十滴魚じゅってきうお】!! これ、絶対ウケるやつ〜〜(苦笑)

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