第66.5話 (閑話)

「で、その【羽根扇ジュリせん】と【孔明扇】とは何なのじゃ?」


パイク=ラックさんが少年の様にキラキラした瞳で俺を見つめながらそう尋ねてくる。


「それは武器なのか? それとも道具なのか?」


ガルフ=トングさんもグイグイ迫ってくる。



仕方ないので説明する為に【芭蕉紙】を貰い、蛇腹折りしてハリセンを作る。それから土魔法の『土饅頭』でお立ち台を作ると飛び乗った。



♪ チャーチャチャ チャララ チャーチャチャ  ホーーゥ!! ♪ (脳内BGM)



「これは実際はフワフワした羽根の付いた扇で、こう振って踊って……、気持ちを鼓舞するというか、場の一番を主張するというか……」


腰を振り、扇を振りながら説明する。冷静になればなるほど……寒い。めっちゃ羞恥デバフが掛かるよ、羽根扇ジュリせん!!



「ほぅ、バフ掛けの魔道具か」


「ヘイトも取れそうですよ」


そうか、お立ち台で羽根扇ジュリせん振って注目を浴びるのって、タゲってもらう為だったんだ…



「で、もう一つの【孔明扇】とは?」


「これも羽根の付いた扇ですが、鷹とかの風切り羽根とかで出来てます。高名な軍師が持っていまして……」


俺も漫画やゲームで知るレベル程度にしか三国志は詳しくないので、口元をハリセンで隠して「この孔明にお任せ下さい」だの、「レベルが上がりました」だの、ハリセンで遠くを指して「伏兵討ち取ったり!!」だの、思い付くままエセ孔明を演じる。


そして……これも相当恥ずかしいよ!! なにこの罰ゲーム!!



高名コーメイな軍師の持ち物ですか。知力に修正が掛かりそうですね」


「知覚阻害や会話時の秘匿機能も付いてそうじゃな」


ガルフ=トングさん、 “高名コーメイ” 違ーう!!





タンク職が戦場で真っ赤な【羽根扇ジュリせん】振ったり、賢者が【孔明扇】を使って指示出しをするのは、そう遠くない未来の話だったりする。





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