第61話
まずは謎の赤い石の状態を確認する。陽光に翳したり魔導ランプの光に翳す。水に濡らしてからもう一度同様に確認する。指で弾いて音を確かめたり臭いを嗅いでみたり。石を握って温めてみたり。次に手持ちの解体ナイフで傷を付けてみる。どうせ表面は削るんだから少しぐらい傷が入っても構わない。ただ、劈開(石の割れやすさ)がどうなのか分からないので不用意にナイフを突き立てる事はしない。このあたりまでは前世でもよくやったチェック行為だ。
石を光に翳すと
この謎の赤い石には特に
さて、どう研磨していこうか…。折角の大きさだから形を活かすなら涙滴型か。俺はまだちゃんとしたカット研磨が出来ないので俺の中で定番のカボッションカットにする。たまにはダブルカボッションにしてみようかな。石の形を生かしたフリーフォームもいいけど極力規格サイズにしてみたかったので測定ゲージを作ることにした。リンド=バーグさんから木の板を貰い、ペンを借り定規とコンパスを使って研磨完了時の輪郭線を書き出す。それも左半分だけ。右側はひっくり返して使えばいいし。それから糸鋸で切り出し、鑢で整えたらゲージの完成。簡易テンプレートもしくはパターンプレートってことで。
何でそんな手間を掛けるかって? だって異世界、油性ペンもテンプレートも無いんだもん!! 前世だったらテンプレート当てて油性ペンで研磨したい形になるよう印付け出来たんだけどね。
下準備が整ったところで後は無心に研磨するのみ。石と砥石を濡らしてから作業が始まる。勿論、『汎用魔法』も使っちゃいけないので桶に水を溜めてからだ。荒砥で形を削り出す。ゲージに沿ったところで天地というか表面と裏面をカボッションカットにしてゆく。表面は甲高で裏面はなだらかに。本当はこれも確認ゲージが欲しかったけど流石に面倒だから作らなかった。
石を布で拭き、軽く乾燥させてから光に翳し歪みや傷の入りを確認しては中砥で削って消してゆく。それを幾度も繰り返し、納得がいったら仕上げ砥に変更。同様に繰り返したところで乾燥
それから何度も、石を布で拭いて乾かしては光に翳し磨き残しがないか確認してまた磨いて……を繰り返す。納得したところで最上級の仕上げ砥で研磨。キュキュッがモキュモキュになったところでリンド=バーグさんに終了したと告げた。
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(作者談)
実際にメノウと
メノウが硬い石なら、
ちなみにオパールの研磨感は、アクリルブロックというか樹脂っぽかった。
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