第53話
想定はしてたけど、それ以上の、ヤバいどころではない騒ぎになってしまった。よかった、パイク=ラックさんが生きてた。
「ミーシャ!! お前は何という物を出してくるんだ!! みろ、パイク=ラックが死にかけてるぞ。俺だって寿命が縮んだわ」
ごめんなさい、ごめんなさい……
「これは学園やら魔道具協会やらを通して検証実験をしないと世に出せない話だぞ。錬金術ギルドには絶対に秘密にしないと駄目だ。それこそ検証結果が出るまでは墓の中に持っていかなきゃいけない話だからな。ミーシャ、まさかここまでのやらかしをしてくれるとは想定外だったぞ!!」
ジョー=エーツさんの視線が痛いです。俺のせいだとはいえ、さっきよりも遥かに威圧が凄いんですけど。
「俺も
「儂は200歳を超えとるんじゃが、今の今まで使用済みの魔石滓が復活するのは見たことも聞いたこともなかったわぃ。尤も、魔石滓は魔導ガラスに加工するのが当たり前だと思い込んでいたせいじゃな。普通の魔石滓に魔力の再充填をしようとしても魔力は入って行かんのじゃ」
「ほれっ、試してみぃ」とパイク=ラックさんが家の隅にある点かなくなっていた魔導ランプから小さな魔石滓を外すとポイっと投げてよこした。咄嗟にキャッチ。そのまま魔力を込めるイメージをしながら魔力を流してみる………、うん、魔力は入っていかない。魔石滓の外側で弾かれる感じで魔力が俺に戻って来る。そして戻って来た魔力は何だか気持ち悪かった。
「どうじゃ、気持ち悪かろう? 魔石滓は魔力の再充填が出来ないが魔導ガラスの材料にはなる。それが古来から伝わる常識なんじゃよ」
ヤバい、常識を破壊してしまった? 俺、“不思議っ
「ミーシャ、もう一つの研磨済みの魔石滓に魔力を通せるか試してみるぞ。この中で一番魔力のコントロールが上手いのはリンド=バーグだな」
「ジョー=エーツ、お前がやってみてもいいんだぞ」
リンド=バーグさんはそう言いながらも興味深そうに魔力を込めようとする。
「これ、研磨のクセがあるな。微妙に魔力が入り辛い」
と言いつつも魔力を少しだけ充填したみたいだ。
「一応、再充填は出来るみたいだが、再充填と研磨規格の関連が分良くからんな。どれくらい再充填出来るかも謎だ。それこそ意味がないレベルの魔力量しか充填出来ないかもしれないし、魔石滓のサイズが大きければ再充填して再利用する意味があるかもしれない。とにかく検証実験をしてみないことには…。そして最大秘匿案件だ。これに関してはミーシャの名前は出せない」
兎に角ヤバ過ぎるという事なので、この魔石滓案件は “大人” 預かりという事にされた。そして俺は暫くの間、『関所の集落(仮)』内謹慎という形になった。どうやら、 “これ以上外で変なものを見つけて来るな!!” という事らしい。
そして話を逸らすためなのか、俺から皆に対して色々と質問タイムが設けられることになった。
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誤字修正
この一番中で魔力の(誤) → この中で一番魔力の(正)
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