第37話
水飴が完成したので【バサルトタートルの甲羅】研磨をしようと思う。『対物簡易鑑定』や知識系スキルをフル動員して得た情報は、 “亀型魔物の甲羅、防具や魔道具の素材に使われる、錬金術の素材に使われる、軽くて丈夫、魔力と反応する” 等々。一般的な情報だとこんな物か。詳細情報は実地で知るか上位鑑定を掛けるしかないみたいだ。
軽くて丈夫なんだ。一辺が2cm程度の六角形の甲羅片だ。欠けてこのサイズになったのか、小さい甲羅片なのか、勿論、バサルトタートルを見たことがないから良くわからない。
琥珀みたいだな…。軽くて手にしたら何となく暖かい。俺の体内魔力が反応してるのか、単に帯電してるだけなのか、熱伝導率が良すぎて手の熱が移って暖かいだけなのか謎。そしてスキル『研磨の心得』は “ 甲羅の外側は荒砥から研磨、内側は中砥から研磨、削り過ぎに注意 ” としか教えてくれなかった。『石知識』は無反応。そりゃ生体素材だから当然だな。
まぁ、失敗覚悟で研磨してゆく。先ずは外側から。『汎用魔法』の『水滴』を使っていたら砥石が目詰まりしてきたので『注水』で洗浄。砥石を通して手に伝わってくる何とも言えない引っ掛かり感と振動が、これは鉱石ではない事を教えてくれる。
前世で磨いた琥珀や
琥珀も
甲羅の厚みが不均一なのと、素材の鮮度というか管理の悪さが影響するせいか非常に磨き辛い。罅の入っている端の方からポロッと砕けてくる。これ以上外側を荒砥で磨くのが怖いので中砥に変更。表面を整えてから内側の研磨に着手。そして甲羅だけに軽く湾曲というか内側が凹んでいる。耐水ペーパーで磨きたい心をグッとこらえる。磨き辛かったので砥石の端をハンマーで叩いて小片に割り、指先に付けて研磨する作戦を実行。
試行錯誤しながら研磨していたら、パキッと真ん中から割れてしまった。残念だけど仕方ない。この世界で生きていれば又いつかバサルトタートルの甲羅を磨くチャンスも来ると信じて終了。折角なので記念に持っておくことに。布で包んで背負い袋の中に大切に仕舞った。
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