第11話

ここ、何処ですか!?



多分、ドワーフが一番多く住む地域、『ネオ=ラグーン領』のどこかなんだろうけど、パッと見、村も町も確認出来ない。白い空間で確認した世界地図ではやたら細長いエリアだった。他にもドワーフが多く住む地域には『ウェルス=マウンテン領』、『マウンテン=ペアー領』等がある。ちなみにエルフが一番多く住んでいるのは『ロング=フィールド領』。オーガは『マウンテン=ヒル領』、龍人族は『ゴッド=クインス=リバー領』内の『サイド=ビーチ自治区』に多く住んでいるといった感じだ。


辺境からやってきた設定、止めとけばよかった(苦笑)


崖沿いの街道を暫く歩き続けると、この先に集落があることを示す標識を発見した。但し、このまま進んでも今日中にはたどり着くのは微妙微妙。


…となると野営の準備だ。焚火の準備を始めよう。街道から少し離れた開けた場所を確保。流石に崖下で休む根性は無い。石を集めてきて簡単な竈を作る。散策がてら薪を拾う。食べられる植物も発見。『対物簡易鑑定』スキル様、好きです、愛してます。これは使いまくってランクを上げないといけないな。


近くに川は無かったし岩清水も見つからなかった。飲み水を汲むことは出来ないけれど『汎用魔法』で水は何となく出せるし、火種も起こせる。食事としては魚料理とカエル料理が候補から外れた。記念すべき異世界最初の食事が野草や木の実なのは、ある意味テンプレ通りなのか?


タンパク質が欲しい。そう思ったので毒のない昆虫や爬虫類を探す。そうこうするうち、気になる『石』を見つけた。他愛もない水晶と岩塩だった。異世界の石は磨いたらどんな感じになるのだろう。調味料ゲットも嬉しい。見つけたタンパク質は小さなトカゲと朽ち木の中にいた謎の幼虫。どちらも『対物簡易鑑定』結果によると毒はなかった。


拠点に戻ると石組み竈に火を起こす。集めた枯れ葉や薪に汎用魔法の『火種』を使い着火。次に土魔法『土器』を使用、小鍋と陶板を用意する。小鍋に汎用魔法の『注水』で作った水を注ぎ、採取した野草を入れ火にかける。トカゲは捌いて内臓を処理、スキルポイントで取得しておいた『浄化』と『清浄』を使う。前世の感覚で言えば『浄化』は無毒化及び消毒で、『清浄』は水洗いだ。同様に『浄化』した岩塩を粉にして振り掛け、串に刺して炙り焼きに。転生しても衛生観念だけは日本人のままだ。謎の幼虫にも『浄化』と『清浄』をかけると採取した山芋のムカゴと一緒に葉っぱで包み、陶板に乗せて蒸し焼きにする。焼けたトカゲを少しだけ小鍋に入れてやれば、豚汁ならぬトカゲ汁の出来上がりだ。



流石にソロが野外で熟睡とかは無理なので、早いうちから体を休めつつ今夜は徹夜する事にした。尤も、石を磨いてたら三徹とか出来そうな気もするが。俺の異世界石研磨ライフは少し進んだ先にある小さなドワーフ集落に付いてから始まる……ハズ。

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