Hybrid Beast ~ハズレ聖女と獣人奴隷~

ガス

第0話 迫りくる危機?

あるじ……」


 なに? このシチュエーションは、何なの?


「主、危ないから暴れるな……」


 彼はそう言って、私の肩を地面に押し付けた。


 彼の甘い吐息を鼻先で感じる。もう数センチで唇が重なってしまいそうな距離。


 私は今、燦々さんさんと降り注ぐ木漏れ日の下、青く茂る大地に寝かされていた。いや、押し倒されていた。


 私の体にまたがっているのは、私より小柄な全裸の少年。体格に似合わず、もの凄い腕力だ。これは彼が、私と異なる種族だからなのだろうか。


「ちょ、ちょっと落ち着いて。こういうことは、もう少し大人になってから……ね?」

「大丈夫、俺、得意だから……」


 弱々しい子猫だった姿からは想像できない、妖艶で魅惑的な瞳。この瞳で見つめられると、私の中の理性が吹き飛んでしまいそうになる。


「主は、そのままで良い……」


 彼はゆっくりと顔を近づけ、その艶やかな唇を私の唇に重ねた。


「んぐっ⁉」


 瞬時に舌を捻じ込まれる。彼の舌が、生暖かい感触が、私の口内を舐る。


「くちゅ……ん、くちゅ、くちゅ……ぐちゅ♥」

「ん……ぐっ……んん‼……んんん♥」


 猫特有のザラザラとした彼の舌が、私の中に未経験の刺激を与える。それは混乱した脳ミソを掻き回し、更に麻酔でもぶち込まれたかのような感覚だった。


 それだけじゃない。彼はその手を、私の乱れたワイシャツの中へ差し込んできた。


 彼の指先が、脇腹を撫でるように上へと昇って行く。


「ん! んんんん♥」


 触れるか触れないかのギリギリを責める絶妙な指使い。彼の指が動く度に、ぞわぞわとしたむず痒さが、快楽を伴って脳髄に伝わって来た。


 まずい……マズい、マズイ! マズイ‼


 これは倫理的にマズイ‼ 例え相手が獣人でも、見た目が美少年でも……。


 子供と〇ックスができるか!


 なんとか……なんとかしないと……。


 私は迫りくる危機(?)から逃れようと、頭をフル回転させる。その瞬間、あの日から今日までの記憶がよみがえってきた。それはまるで、走馬灯のように……。

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