言霊アソビ
角煮 食う
言霊を使ってみよう
今日も今日とて街には言霊が飛び交っている。
ただこの言霊はじゃんけんのようなものだ子供から大人までみんな使っている。
どのように使うかというと相手に今自分の思っていることや相手にこうなって欲しいと思っていることを言うだけだ。
言霊の範囲、効果は声の大きさや想いによって変わってくる。言霊を効かせる対象を限定する事でより効果が顕著に現れる。
言霊は古来日本や旧約聖書の時代からあるほど古くから用いられてきた。
己を護るためや相手を護るため自分の想いを伝えるため用途は様々だったが、今ではスポーツとして使われてるいる。スポーツと言っても相手に精神的敗北感を与えたり気絶させたりしたら勝ちだ。
「都立ルーアハ高等学校」
これから3年間お世話になる学校だ。
ルーアハ高校は言霊の事を専門的に扱っている学校だ。
学校に着くとまず聞こえてくるのが生徒指導の菊田先生の挨拶だ
「おはよう!!!!!」
言霊を使っていないのに声が大きすぎるせいで気絶してしまいそうだ。
「おはよう。一条くん」
俺は毎日この声を聞くために学校に通っていると言ってもいい程の美声で俺に挨拶をしてくれたのが
「おはよう。
こう俺の事を呼ぶのは中学からの
こいつは…まあ普通の奴だ。
授業が始まると学校の至る所から言霊が聞こえてくる。何故言霊で授業をしているかというとその方が頭に入ってくるからだ。
よく先生が言う「ここテストでるぞー」
などとは違い言霊だから嫌でも入ってくるのだ。
授業はいたって普通で5教科と副教科、言霊専門の授業言霊基礎・応用と言霊の実技だ。
つまらない座学の時間が終わったこれからお待ちかねの実技だ。
実技の時間は言霊専門の講師の方を雇っているようでプロ選手であったり元自衛隊の方であったりとその道のプロを雇っているらしい。
今日教えてもらう方は
補足しておくと言霊専門の部隊が自衛隊にありそこに所属していた方だそうです。
「今日はいきなりだが、対戦形式で言霊バトルをしてもらう!」
そんな須藤さんの言葉を聞き、喜ぶ者もいれば面倒くさがる者、自信のない者など様々だ。
そんな中俺はというと
「蓮。今日は負けねぇぞ!」
「望む所だ!」
蓮とともに闘志の火をつけていた。
言霊バトルは基本1試合ずつ行われる。別の選手の言霊が影響してくるからだ。
出席番号順という事で俺と蓮は1番だった。
「はじめ!」
まずは相手の闘志を消すことからだ
『
蓮は負けじと応戦してくる
『
己を奮い立たせなんとか堪えたようだ
「今度は俺からだ!」
『
言霊は言葉の意味、字面を相手に効かせることができる。
俺は今、四方から言霊を浴びせられているような幻覚を見ている。
4対1だからなんだ逆境を越えてこそ強くなれる。
俺はこの状況を逆手にとる。
『
苦しみながらも一心に努力する。
悪戦苦闘にはそんな意味が込められている。
『こいよ!俺の闘志はまだまだ燃えてるぞ!』
そんな俺を見て蓮はニヤリと笑った。
『
『
俺の
だが、俺には好都合
『
「次は俺の番だ」
『言語道断!《ごんどごうだん》』
『極悪非道!《ごくあくひどう》』
『無為無能!《むいむのう》』
俺は何も考えず言霊を蓮にぶつけていた
「そこまで!」
気づけば蓮は気絶していた。
流石にやり過ぎだと反省し、蓮が起きるまで保健室で言霊をかけてやることにした。
いつのまにか眠ってしまっていた。目が醒めると、ベットに影が落ちていた。
「ずいぶん気持ちよさそうに寝てたね」
蓮が俺の顔を覗き込んでいた。
恥ずかしくてここから消えたくなった。
「ごめん。居眠りするつもりじゃなかったんだ。流石にさっきはやりすぎたと思って言霊をかけていたら…」
「いつの間にか寝ちゃっていたと」
「…はい」
蓮は静かに笑っていた。
なんだか悪い気はしなかった。
ひとしきり2人で笑い教室に戻ろうとしたら。
「お二人とももうすぐ下校時間ですよ」
神藤さんが天使のような声で教えてくれた。
「ありがとう神藤さん。すぐ帰るよ」
「それじゃあ。また明日」
綺麗な黒髪を
俺たちが他愛もない話をしながら帰路に着いていると
『おい!金出せや!』
なんとカツアゲの現場に遭遇してしまった。
大の大人が可憐な少女にカツアゲとは全くけしからん。
ここは一発ギャフンと合わせてやらんとなと蓮と目で会話していたところ。
その少女は震えながらも言霊を使用していた。
『
小さいながらも聞き覚えのある声だった。
神藤さんだ。
俺は躊躇なく憎悪や嫉妬などの負の感情をカツアゲしてる奴らに向け
『
奴らには
カツアゲをしていた奴らはその様相に腰を抜かし気絶していた。
『神藤さん!こっちに走って』
なんとか神藤さんには被害が出ずに済んだ。
「ありがとうございました!」
「いやいや当たり前のことをしたまでだよ」
俺は神藤さんに感謝されニマニマしていたと思う。
「今日の実技の時から思ってたけど、一条くんってとっても強いんだね!私憧れちゃう」
こんなに目をキラキラさせている神藤さんを見るのは初めてだ。うん可愛い。
そういえば神藤さんってこんなにフレンドリーな話し方だったか?と疑問に思いつつも聞かないようにした。
蓮が隣でニヤニヤしているが労いの言葉の一つでもかけてくれればいいのにと思ってしまった。
改めてお礼を言い神藤さんは帰って行った。
「いやー。可愛かったな神藤さん」
蓮に同意を求めるように言うと
「あの人お前に惚れてね?」
「…は?」
訳がわからなかった。
「一度助けただけだぞ、俺の顔はイケメンでもないし…そもそも神藤さんが俺なんかを好きになるわけないだろ」
自分で言ってて悲しくなってきた。
「俺はそんな事ないと思うけどな」
何故蓮はそれほどにも自信があるのだろう。
俺にはさっぱりだ。
翌日学校からは近頃不審者がいるようだから注意して帰るようにとの事だった。おそらく昨日懲らしめたカツアゲをしていた奴らのことだろう。
「おーい颯汰一緒に昼飯食おうぜ」
俺は気兼ねなく了承した。
「私もご一緒していいかしら」
俺と蓮は唖然としてしまったが、嬉しかったので了承した。
「昨日はありがとうございました」
あまり大事にしないためか小さな声でお礼を言ってきた。
「別にいいよ。それよりもっと楽しい話しようよ」
「
「そうだ愛美さんって趣味とか何かある?」
「趣味って言う程では無いのだけれど、お琴と書道それから空手は習ってるわ」
「すごいね!俺は習い事何もして来なかったから何かやっておけばーってちょっと後悔してるんだよね」
蓮はこんな事を言っているが嘘だ幼稚園の頃に俺と一緒に水泳を習っていたのだが、先生が見ていない間にプールに入ってしまい溺れたのだ。その事を本人は全く覚えていないらしい。
「一条くんは何か習い事はしていましたか?」
「俺も蓮と同じで何もしてなかったよ」
蓮が嫌な記憶を思い出すことを危惧し俺は水泳をやっていない事にした。
「話は変わるけど2人は好きな人とかいねぇの?」
蓮は何故こうもプライバシーの欠片もないことを言えるのか、そして恥じないのか
「わ、私は別に好きな人など…い、いません。」
愛美さんはどうしてこちらをチラチラ見ながら言ってくるのかわからない。
もしかして俺のこと好き?!
いやいやそんな事…ないよね?!
「おい。颯汰は誰かいないのか?」
「俺はまあ…気になっている人はいる…」
言葉を濁したがその気になっている人は愛美さんである。
そんな他愛もない話をしていたら昼休みが終わった。
言霊アソビ 角煮 食う @kakunikominopaa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます