僕は悪魔
@Eeeta
最後の会話
「その動機はなんだ。」
僕にそう聞くのは、閻魔、いわゆる、来世の審判だ。想像より若い見た目で、語尾に威圧的なものを感じるが、そう怖くはない。僕が若いから、少し躊躇いがあるのかもしれない。僕は、今、天国か地獄のどちらに行くかの裁判をしている。人が人生の中で犯した罪がたくさん読み上げられていく。
「時間を守らなかった。」「差別した。」「••••。」
罪の重さは大小様々なものだが、中には、意味の分からないものもあった。あまりにも多くて最後の方は、聞いていなかった。それが終わると、それについて1つ1つ動機が聞かれていく。
「なぜ、時間を守らなかった。」
「寝過ごしたり、電車が止まったり、予定を忘れていたり……。」
「なぜ、差別をした。」
「ストレスが溜まって、感情が抑えれなくなっていたのかもしれません。」
正直、あまり覚えてないことには曖昧な答えを返すしかなかった。
•
•
•
•
「なぜ、吊るした。」
僕は、その言葉を聞いて、急に生きていた頃の記憶が蘇った。それは、勉強ができ、運動もできる、いつもチヤホヤされる人間。そいつの顔は、学校や通学路やら、夏休みでさえも毎日見た。僕の1番なりたかった人間だった。それを目指して、僕は、努力した。人に褒められるように、チヤホヤされるように。毎日、自分の中でのプレッシャーに打ち勝とうとした。それでも、限界が来た。
「なぜ、泣いている。」
その言葉で我に返った。僕は、頑張りすぎていたのかもしれない。泣き出すのも無理はない。僕は、よく頑張った。
「思い出しました。僕が自殺した理由は、僕では、僕になれなかったからです。」
僕は悪魔 @Eeeta
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます