白い、一尾のしらすがそこに居た

黒川しらす

一尾のしらすがそこに居た

 新雪の反射光のようでいて、真夏の太陽光のようでもある、月明かりのようで、星明かりのような、全ての光を集めたような色だった。薄く黄色がかったようなそこらの白とは違う、薄く水色がかったような洒落た白とも違う。何にも染められていない、染まらない、初心な花嫁のような美しい色。この世の全ての穢れを洗い落とした後のような、この世のものとは思えないほどの、しかし目の前にたしかにあるその白さ。まっさらな──ひときわ輝く純白の、一尾のしらすがそこに居た。

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白い、一尾のしらすがそこに居た 黒川しらす @shirasukurokawa

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