第4話 魔術師の体について

あの、シフィリアとの会話の翌日から

魔術の特訓は始まった。

と言いたいところだが、

実際は始まっていない。

なんでも、魔術というのは体内に滞っている

魔力を循環させる必要があるらしいのだが、

生命力の塊のようなものであり、

それを循環させることで副次的なものとして

老いを遅らせる効果があるらしい。

現にうちの母親シフィリアは見た目はせいぜい二十代前半といったところだが、

実際は三十二歳とずいぶん歳がいってる。

この老いを遅らせる効果が成長を阻害する

可能性もあるので、ある程度の筋力がつく

七、八歳頃までは座学とイメージトレーニングのみということになった。

まぁ、正直言ってこれがなかなかに退屈ではある。

プログラミングも理論だけ学んで

実際に打ち込まないのはつまらないだろう

それと一緒だ。だが、まあ約束は約束だ。

ずっと二歳児程度の体でいても困るしな。


約三年後


五歳になった。

この国の文化なのかこの世界の文化なのかは

分からないが誕生日を祝うという文化がないらしい。

なんとも寂しい文化である。その代わりに子供が生まれた時や、初めて子供が喋ったときなどなにか特別なことがあると盛大に祝うという

文化らしい。まあこれはこれで気分は悪くないので少し気に入っている。

話は変わるのだが、五歳まで生きてみて

疑問に思ったことがある。

というのも、俺は現在シデア・レントの体で

生きているわけだから

当然脳もシデア・レントのものである。

となると、前世の俺の記憶があるのはどうも

おかしい。今世の脳に、知り得ない前世の情報があるわけがないから他の場所に俺の前世の

記憶があるとして、それは一体どこだろう?魂?あまりに非現実的だが魔術のある世界だ。ないこともないだろう。

まあ現状どう足掻いても理解できないものは

考えても仕方ない。また、後で考えよう。

今日もしっかり魔術の理論について

学ぶとしよう。

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