【SF短編小説】論理と感情の境界線ーグレイスケールの反逆者たちー

プロローグ：モノクロームの世界に潜む虹の種

　想像してみてください。あなたの世界から、すべての色が消え去ったとしたら。

　笑顔も、涙も、怒りも、喜びも、すべてが禁じられた世界を。

　そんな世界が実在するのです。

　その名は「モノトニア」。

　ここでは、感情という概念が完全に排除され、すべての決定と行動が冷徹な数式と論理によって支配されています。街を歩く人々の顔に表情はなく、皆が同じ灰色の制服を身にまとい、整然と日々を過ごしています。

　子供たちは幼い頃から感情を抑制する厳しい教育を受け、社会全体が効率と合理性を追求することだけを目的として機能しています。感情を表現したり、経験したりすることは法律で固く禁じられているのです。

　この物語は、そんな無機質な世界に生きる二人の若者の物語。

　論理学の天才アダムと数学の天才イヴ。

　彼らは完璧な論理的思考の持ち主でありながら、心の奥底で何か説明のつかない違和感を抱えていました。

　そんな二人が出会ったとき、モノトニアの灰色の世界に、かすかな色彩が生まれ始めます。

　禁断の詩集との出会い。

　芽生える不思議な感覚。

　そして、論理では説明できない衝動。

　アダムとイヴの前には、これまで誰も経験したことのない冒険が待ち受けています。

　感情という未知の領域を探索し、モノトニアの秩序に挑戦する二人の姿を通して、私たちは「人間らしさ」の本質について、新たな問いを突きつけられることでしょう。

　論理と感情は本当に相容れないものなのでしょうか？

それとも、人間の真の可能性は、その両者のバランスの中にこそ存在するのでしょうか？

　さあ、モノトニアの扉を開き、アダムとイヴと共に、感情と論理が交錯する未知なる世界への旅に出かけましょう。

　この物語が終わるとき、あなたの中で、何かが変わっているかもしれません。