某週刊誌掲載(2023.08.23)短編小説『(タイトル無し)』
私はいじめられた。
下駄箱には片方しかない靴。誰かに隠されたのだろう、そう思って学校内を探してみたら、意外なところからもう片方を見つけた。
調理室の生ゴミを捨てるところだった。
ショックだった。
なんで、こんな仕打ちを受けないといけないのだろう。正直、そう思った。いや、正直でなくても、思うのは当然なのか。
数日前にも私への仕打ちがあった。謂れのない陰口。暴行。暴言。机の落書き。黒板にありもしない事実を書かれる。
その時はまだ我慢出来た。けどもう、今我慢出来ない。
誰かに言いたかった。
誰かに。言いたい。
私は必死に足を動かし、自宅へ向かった。
夕日が私の背中を射してくる。温かいようで、実は冷たい。
学校から二十分掛けて、自宅の扉の前に来た。
深呼吸をした。照明はついてないけど、多分、誰かいる。
きっといる。
きっと、いる。
きっと────いる。
きっと────
「ただいま」
そう言った私の言葉は、扉の音と──
孤独でかき消された。
「死のう」
都内某所の学校について調べてみました。 青冬夏 @lgm_manalar_writer
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