第19話

あまりに嬉しくて大人気もなく叫び声を上げるが起きあがろうと四苦八苦するライアンを見て落ち着く

「大丈夫か?」

「ああ、でもあんなの卑怯じゃないか?」

「言ってろ、それに時間魔法を使ってたら勝てたかもしれないだろ?」

「ルドが二刀流を練習している様に俺も時間魔法は練習中なんだよ」


ライアンは新しく固有魔法「時間魔法」を覚えた

自身を相対的に加速する魔法、言い換えれば周りがゆっくり動いている様になる魔法だが

体に、特に神経系に加わる負荷が高くて長時間の使用、連続使用ができず反動が大きい魔法だ


最大5倍ほど加速できるチート魔法だ

ルピーの「風の加護」と異なり常時発動できないが体感時間が遅くなるので精密行動ができる上に最高速度で上回る事ができる


ちなみに神経系に加わる負荷は俺の「情報魔法」で打ち消し、身体の方はエミリーの祝福魔法で緩和することで使用時間を伸ばす事ができる


「俺の二刀流はまだ実践に利用できないレベルだけど、ライアンの時間魔法は一時的になら運用できるんだから最後の一瞬でも使えばよかったんだよ」

「くそ〜」


俺は今まで片手剣一本を鍛錬してきたが「情報魔法」がある俺なら左右の手別々で複雑な動きができることに気づいて二刀流に変えていくことにしたのだ


「かなり小賢しい戦法だったけどライアンに勝ったのは久しぶりだな」

エミリーが

「それでもすごいわよ

まぁ魔法を精密に扱えるルドだからこそできる戦法だけど」


魔法は超能力の様にイメージした方が良いかもしれない

念動力だったりパイロキネシスだったり大雑把に高い威力を出すのは難しくないが小規模で細かい作業をするのは難しい

まぁ「情報魔法」のお陰で小規模の細かい作業はむしろ得意なんだけどね


「でも、ライアンが真正面から本気で叩き切ってたら勝負にならなかったよ」

「それでもすごいわよ」

そんな会話をしてる時


ライアンは「風の加護」を持っていて常時超速度で行動できるルピーに「時間魔法」をどのタイミングで使えばよかったか聞いている


ちなみにガイルとトネリはというと少し離れた所でいい感じになっている

完全に恋人とかそういうのだ

...いつのまに、と行った感じである日気がつくと距離感が近くて驚いたなー


いつのまにか会話を終えた

俺、エミリー、ライアン、ルピーが二人を凝視していると視線に気がついたのか


「ルドがライアンに勝つのは久しぶりだな」

なんの恥ずかしげもやくガイルが言ってくる

はっ、後ろの彼女さんは恥ずかしそうにしていますよ?

と言いたいところを飲み込んで

「あのやり方じゃ次は無いだろうけどな」


「それでもまた絡めてを考えて成功させる、そうだろ?」

「できなきゃ勝てないからな」

くそっこいつは体だけじゃなくてメンタル鉄の様に硬いのか?


ガイルは「鉄人」の効果が高くなり俺じゃかすり傷程度しか与えられない

代わりにガイルの攻撃を俺は完全に回避できるので勝敗がつかない


まぁ

彼女がいる点で負けてるけどな!!

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