第33話 リアム、どっちを選ぶ?
◆◇◆
巨大樹攻防戦を終えた僕たちは、中央都市マギアトスにある宿までやって来た。
部屋割りでリディアさんとメリアさんがまた言い争っていたけど、最終的には三人で同じ部屋に泊まるということに決定した。
「一応モンスターによる追手が無いか、見回りを行って来ます」
「わかりました」
「ありがと〜!リディアちゃん!」
僕たちがそう返事をすると、リディアさんはこの部屋を後にする。
すると、メリアさんが明るい声色で言った。
「本当、リディアちゃんっていい子だよね〜!真面目で律儀だし、こういうところもちゃんと抜け目なくて優しいところもあるし!」
「はい……力があるだけじゃなくて、内面もしっかりとしているリディアさんのような人が騎士という役目を担ってくれていると思うと、心強いですよね」
「うんうん!そうだよね〜!」
その意見に賛同するように頷いてくれたメリアさんは「そうだ」と言うと、ベッドに座っている僕の隣に座って言った。
「リアムくん、私ね?今回の件、本当にリアムくんに感謝してるんだよね……もしリアムくんが居なかったら、本当にこのエルフの国が滅びちゃってたかもしれない」
「そ、そんな……!僕はただ巨大樹に魔力を与えただけで、メリアさんやリディアさんがモンスターと戦ってくれていなければそれもできていなかったと思うので、お二人のおかげです!」
僕の方こそ、むしろ二人が居なかったら今頃どうなっていたんだろうとゾッとしているぐらいだから、エルフの国が助かったのは二人のおかげだ。
「そんなことないよ、もしリアムくんが居なかったら、あんな奴らが相手だったとしても、無防備で弱ってる巨大樹の根元はすぐに壊されちゃってたかもしれないからね……だから、私リアムくんにお礼がしたいの」
「お、お礼なんて本当に結構です!僕はお礼をしてもらうために巨大樹を元気にしたわけじゃないですから!」
「じゃあ……お礼じゃなくて、純粋に私がリアムくんにしてあげたいこと……リアムくんとしたいことだったら、どうかな?」
え……?
メリアさんが僕と……したいこと?
「それは……どんなことなんですか?」
「実際にしながら教えてあげる……このベッドに横になってみてくれるかな?」
……お礼ということなら受け取りたくなかったけど、メリアさんが僕にしたいこと、もしくは僕としたいこと。
どちらにしてもそれを断る理由は何も無いため、僕はひとまず言われた通りにそのままベッドに横になった。
「こ、これで良いんですか?」
「うん、いいよ……じゃあ次は」
メリアさんは、横になっている僕の上に覆い被さるような体勢になると、僕の顔に自らの大きな胸元を近づけて来た。
「メ、メリアさん!?」
「ほら、この間はリディアちゃんのせいでうやむやになっちゃったけど、リアムくんも男の子なら溜まってるもの出さないといけないって話だよ」
「溜まって────っ!そ、その話なら大丈夫ですから!!」
僕はその話をして恥ずかしくなったことを鮮明に思い出すと、すぐに体を起き上がらせてその場から離れようとした────けど、メリアさんはそんな僕の両手首を掴んで言う。
「逃げたらダ〜メ、これはもはや私がリアムくんにしてあげたいだけじゃなくて、私もリアムくんとしたいことなんだから……それとも、リアムくんは私のこと女として見れない?」
メリアさんが首を傾げると、その胸元が大きく揺れた。
「そ、そういうわけでは……で、でも、リディアさんが見回りに行ってくれているのに、こんなこと……」
「むしろ、リディアちゃんが居ない時じゃないとこんなことできないの……私、リアムくんになら────」
「見回りを終えましたが、特に追手は────っ!?な、何をしているのですか!?」
メリアさんが何かを言いかけた時、見回りを終えたらしきリディアさんがこの部屋に戻ってくるとそう声を上げて僕たちの方に駆け寄ってきた。
「リ、リディアさん!?こ、これは違うんです!僕は────」
「もしや、その方が仰られていたように、本当にそういった欲求を抑えるのが限界だったのですか……?」
「ち、違いま────」
僕がそう言いかけると、リディアさんは頬を赤く染めて、僕の言葉を遮るようにして甘い声音で言った。
「以前もお伝えしたとおり、そういった情動を否定する必要はないのです……そういった情動があるのでしたら、その情動は私にお向けください……この身を持って、そのお気持ちに応えさせて頂こうと思います」
「ちょっとリディアちゃん、私が先にしようとしてたんだよ?」
「そのようなこと、私には関係ありません……それに、リアムさんでしたら私のことを選んでくださるはずです」
そう言うと、リディアさんは僕との距離をさらに縮めてくる。
「じゃあ、リアムくんに聞いてみよっか……リアムくん、私とリディアちゃん、どっちを選んでくれる?」
「え?……ええ!?」
続けて距離を縮めてきたメリアさんによって突如出された問いに、僕は動揺と驚愕の混じった声を上げた。
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