《《《《《《《《《《《《白》》》》》》》》》》》》

灯火(とうか)@チーム海さん

第1話

「白」

 この色は、「存在」の色だ。


 物理学の視点から言えば、白というのは赤と、青と、緑の、全ての色が混ざったものだ。

 光というものは、集まれば集まるほどに白くなる。

 完全な白というものは無限にある。なんせ光を集めれば集めるほどに白くなっていくのだから。

 つまり、白という色は誰も完全な色を作ることができない。

 だからこそ、完全な白という色は神聖なのではないだろうか。

 白という色を追い求めて早10年が過ぎる。

 白は私の前に、まだ姿を表さない。


「白を求めて。」


 私は、まだ暗い。


 白とはどんな色なのか。


 白い壁紙を例に見てみよう。

 白い壁紙といえど、その色は薄い黄色だったり、薄い水色だったり、純白を使うことは少ない。

 白とは難しい色なのだ。


 オブジェやものであるならば、白い状態を保つことは非常に難しい。

 定期的なメンテナンスというのはもちろんのことではある。ただ、小さな汚れで純白というものは黄ばんでしまう。


 やはり完全な白というものは難しい。


 目を瞑った状態は白と言えるだろうか。

 ここでの白は何もない色という意味だ。


 目を瞑った状態の時、どんな色が見えるだろうか。黒だけでなく赤や緑、青の光が目の前を混ざり合う。

 全ての色が、目を閉じた世界にはあるのだ。

 なら、その色は白ということができるだろうか。



 ある日、久々に孫の顔を見ることができた。


 満面の笑みで笑う孫の顔。


 私は、疑いようのない純白を見つけた。









※この物語の全てはファンクションであり、実体験は含まれておらず想像上の物語です。

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