正義も悪も金しだい
横切カラス
プロローグ
小さな爆発音が聞こえて僕は視線を移す。
僕と同じ歳ぐらいの美少女の手から何かが飛んで来た。
咄嗟にそれをキャッチすると、白色に輝くマグナムだった。
いつの間にか僕の左手に白色のブレスレットが巻かれている。
「良かった。
やっと適合者を見つけた」
先程の女の子が痛めたであろう右手を押さえながら僕の元に来て、痛みで顔を引き攣りながらも笑いかけてくる。
そんな状態なのに整った顔立ちの美人。
学校一の美人とか噂になってそうなぐらい。
女の子がブレスレットに触れると一言発した。
「変身」
次の瞬間、僕は白色の戦隊スーツのような物に全身包まれていた。
「あなたは今からナイトセイバーの6人目のヒーロー。
ホワイトナイト」
……は?
僕がヒーロー?
こいつら本気で言ってるの?
「お願い。
みんなを助けて」
みんなって誰だ?
もしかしてあそこで5対1なのに負けかけているカラフルな奴ら?
頼む相手間違ってる。
だって僕は……
いや、これは利用するに限る。
僕ら縋るような上目遣いで僕を見て来てる美人ちゃんをまっすぐに見てからマスクの下でほくそ笑む。
「いくら出すんだ?」
◇
『昨日、ナイトセイバーは未確認生命体の幹部と思われる女を後一歩まで追い詰めるも、新しく現れた謎の黒い鎧を着た未確認生命体によって敗北しました。
5人共、命に別状はありませんが負傷したとの事です』
ニュースが昨日あった戦闘を報じている。
子供の頃は僕も戦隊ヒーローに憧れていた事もあった。
だけど現実に戦隊ヒーローが居ると言う事は何かしらの敵がいると言う事だ。
そしてその戦隊ヒーローは国の機関の一部として扱われている。
それも考えてみれば当たり前の話。
あんなの一歩間違えれば兵器だ。
国が管理していないと他国との外交に支障をきたしかねない。
だが、そのせいで毎回ニュースで報じられる。
そして敗北すると袋叩きだ。
今も専門家とか言って何もしないくせに偉そうに負けたのはナイトセイバーの研鑽が足りないとか、無責任なコメンテーターが守ってもらわないと税金の無駄とか言ってやがる。
ナイトセイバー本人達には一銭の金も支払われて無いと言うのに勝手なものだ。
僕は出かける用意を終えてテレビを消した。
まあ、いい様に使われているナイトセイバー達も悪い。
自分の事を守れるのは自分だけだって事だ。
僕ならごめん被るね。
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