第40話 モンスター狩猟祭
「そろそろモンスター狩猟祭の時期ですね」
生徒会の会議で、ファルネーゼが言う。
モンスター狩猟祭。
学園近くの「奈落の森」に男女一組で入り、1日かけてモンスターを狩る。
狩ったモンスターの強さと数で、優勝が決まる学園の伝統行事だ。
優勝者は爵位を一ランク上げることができる。
たとえば、伯爵が侯爵にランクアップ可能だ。
もし優秀できればの話だが……
「生徒会役員と王族は、全員参加ですからね」
モンスター狩猟祭は、元々王族の遊びだった。
特に王族の男子は強いモンスターを狩ることで、民衆に対して己の強さを示す。
学園では生徒会役員と王族の学園生は全員参加が伝統だ。
一般学園生も希望すれば参加できるが、参加する学園生はいない。
奈落の森はモンスターはほとんどが危険度A級で、魔力に自信がないとマジで命が危ないからだ。
——そんな設定だったと思う。
「で、ブライラント様が組む学園生は……もちろんこのわたしですね♡」
ファルネーゼが、黒板に俺と自分の名前を書く。
すげえ嬉しそうな顔をしながら。
「ファルネーゼ様っ! 勝手にわたしのオウガ様を取らないでくださいっ! オウガ様はわたしと組みます!」
エステルが立ち上がって抗議する。
「ダメですよ。ここは生徒会長権限で、ブライラント様はわたしと組みます♡」
「ぐ……ずるいです! 生徒会長権限を使うなんて!」
「ふふ〜〜っ! これで決定ですね!」
なんだか知らんが、俺はファルネーゼと組むことになったらしい。
ゲームのシナリオだと、攻略ヒロインによって組む相手が変わるんだよな。
本当ならヴァイスとヒロインが組むはずなのだが……
「では、一般学園生の参加者も募集しましょう。たぶん参加者はいないと思いますが」
ゲームでも参加者は現れなかった。
一応念のため、募集だけしておくということだろう。
★
「ファルネーゼ様っ!」
次の日、ファルネーゼのメイド、セリシアが生徒会室へ駆け込んできた。
「どうしたの?」
「参加者が現れました」
「誰なの……?」
想定外の出来事に、ファルネーゼも驚きを隠せない。
「リリーエ・フォン・ドラフィール伯爵令嬢です。それだけじゃなくて……」
「何があるの?」
「ドラフィール様の組む相手は、バルトフェルト殿下です……」
「嘘でしょ……」
俺の婚約者のリリーエと、ファルネーゼの婚約者のバルトフェルト殿下がペアを組むことに……
こんな展開はゲームになかった。
完全なシナリオ崩壊。
いったいどうなるんだ……?
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悪徳神官に転生した俺、ざまぁフラグをへし折って聖人となってしまう~王女様と大聖女が信者になって俺に大金と身体を貢いでくれる~
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勇者に殺される悪徳領主に転生した俺、序盤に鍛えすぎたせいで勇者の地位を奪ってしまう〜逆恨みした勇者に狙われているけど、全然気づきません〜 水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴 @saikyojoker
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