第34話 オウガ様はやっぱり強い エステル視点

【エステル視点】


「オウガ様は……やっぱり強い」


 わたしは寮の部屋のベッドで、身悶えている。

 今日、わたしは裸になってオウガ様に抱き着ついてしまった。

 そして、言った――「オウガ様の奴隷になりたい」と。

 ついに言ってしまった……


「でも……オウガ様に断られてしまった……」


 俺は女の子を奴隷にする趣味はないから――と。

 わたしがどうしても……とお願いしても、断られてしまった。


「はあ……オウガ様はかっこ良すぎました……」


 突然、郷土料理の店を襲ってきた冒険者たち。

 敵は王国のトップギルド、栄光の盾のSランク冒険者。

 数多の凶悪モンスターたちを討伐してきたつわものたちを、オウガ様は――


「一瞬で、倒してしまった……」


 わたしは何が起きたか、わからなかった。

 高ランクの魔術師や騎士がたくさんいたはずなのに……

 わたしが少し目をつぶっている間に、強敵たちは倒れていた。


「古代魔法の力――」

 

 いや、それだけじゃない。

 オウガ様は膨大な魔力を制御している。

 魔力を操るセンスが抜群なのだ。


「あれだけの魔力と操作センスを、いったいどうやって……?」


 並大抵の努力ではない。

 才能ある魔術師が何年もかけて修行した果てに、やっと身に着くレベルだ。

 いや、才能があってもオウガ様の領域に到達できるかどうか……


「そう言えば……あの時、変な人に話しかけられたな」


 わたしがオウガ様と抱き合っている時に、話しかけてきた学園生。

 名前は、えーと……何だっけ?

 ヴァ……なんとか、という名前だった。

 全然思い出せない。

 

「なんか明日の放課後に大事な話があるとか言ってたな……」


 どんな話かわからないけど、わたしは生徒会役員だし、一般学園生の話は聞いておくべきだろう。

 生徒会に何か要望があるのかもしれないし……


「生徒会……明日もオウガ様に会えるのが楽しみだ」


 わたしはオウガ様の奴隷になりたい。

 それがわたしの夢。

 そのためには、オウガ様の外堀を埋めて行こう。

 オウガ様に気づかれないうちにね……♡

 


 



 

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