第32話 高ランク冒険者をワンパンしてしまう

「な、何が起こった……?」


 俺とエステルは、店の一階に降りていく。


「オラァ!」

「きゃあああああ!」


 あの鎧と剣……もしかして冒険者たちか?

 冒険者たちが店の中で暴れ回っている。


「ブライラントを殺す、ブライラントを殺す、ブライラントを殺す……」


 冒険者たちはぶつぶつ言っている。

 俺のことを殺すと――

 

「この人たち、オウガ様を殺すと言っています……」


 明らかにおかしい冒険者たちを見て、エステルも戸惑っている。

 ただ幸いなのは、この冒険者たちは俺を狙っているということ。

 ならば俺が冒険者たちをひきつけて……


「オウガ様! この人たちは、【栄光の盾】の冒険者たちです!」

「栄光の盾か……」


 栄光の盾。

 ゲームでも出てきた、高ランク冒険者が集まるSランクギルド。

 シナリオだと、主人公ヴァイスと組んで難関クエストをこなしていく。

 要するに主人公の味方であるわけだが……


「きゃあ……っ!」


 冒険者のおっさん―だ―高ランクの重騎士が店の女の子を掴む。


「だ、誰か助けて……っ!」

「はあ、はあ……」


 重騎士のおっさんは、女の子を胸を揉む。

 完全に発情している……


「古代魔法――身体強化」


 根源から魔力を身体に流し込んで身体能力を向上させる。

 相手は重騎士。

 鑑定スキルをよれば、Sランクだ。

 だから根源から少し多めに魔力を出して……


「小僧。お前は俺を傷つけられない……防御魔法、鉄壁!」


 鉄壁――Sランク重騎士しか使えない防御魔法。

 どんな攻撃も通さなくなるが……


「オウガ様、無理です。あれではダメージが入りません――」


 ……と、エステルが言った時だった。


「ぎゃあ!!」


 重騎士のミスリルの鎧に、俺は拳を叩きこむ。

 鎧はバキバキに割れて、重騎士は壁まで吹っ飛ぶ。

 

「がは……っ!」


 重騎士はその場に倒れた。


「重騎士の防御を破るなんて……やはりオウガ様は測り知れない」



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