第16話 どさくさに紛れて殺そう 勇者ヴァイス視点
【勇者ヴァイス視点】
「おい。ブライラントがまた決闘するみたいだぞ?」
「マジかよ! 見に行こうぜ!」
「ブライラント様が見れるなんて幸せだわ!」
俺が学園の中庭を歩いていると、学園生たちがざわついていた。
ブライラントが……また決闘をする?
「おい。そこのモブ。誰がブライラントと戦うんだ?」
俺は近くにいたモブ令息に話しかける。
「は? モブ? ……魔導士部のグラスとだよ」
「グラスか……」
魔導士の部長、グラス侯爵令息。
主人公ヴァイスが剣士部との争いを仲裁して、ヒロインのエステルの好感度が上がるイベントがある。
それが決闘イベントに変わった?
「完全に俺のシナリオを破壊してるじゃねえか……」
俺のシナリオは、神の作ったシナリオだ。
それを破壊するとは……
「……? 俺のシナリオ? 何言ってんだ?」
モブ令息が怪訝な顔をする。
神に向かって無礼なヤツめ。
「その決闘はどこでやってるんだ?」
「中央グラウンドだよ」
「そうか……オラァ!」
「ぐふぅ?!」
俺はモブ令息の腹に思い切りパンチする。
モブ令息は腹を抱えて倒れ込んだ。
「許せねえ。ブライラント、絶対に殺してやる……」
俺は中央グラウンドへ向かう。
ブライラント、今日がお前の最期だ……
★
「ブライラント様ー! こっち見て!」
「チっ! 悪徳領主のくせに!」
「どっちが勝つのかな……?」
中央グラウンドに集まる学園生たち。
どうやらまだ、ブライラントのアンチもいるらしい。
よかった。まだこの世界には救いがある。
「ブライラントは魔力無効を使う。ならば、魔力無効を無効化すればいい……」
俺はポケットから魔封じの石を取り出す。
これは、本編クリア後にしか手に入らないアイテム。
「これで魔力無効を封じれば、確実にブライラントはグラスに負ける」
そうすれば、アイツの評価は地に落ちるだろう。
クックック……ブライラント、お前は終了だ。
——しかし、ヴァイスは知らなかった。
この後、オウガの評価は逆に爆上がりすることに……
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