11 時間外の食堂にて 02
お兄様は真剣な様子で私とコニーを見ます。
「それでエマ。コニー。君たちも人道派か貴族派か、どちらに所属するか考えておいてくれ。もちろんどちらにも所属しないという道もあるけどね」
私の答えは決まっています。
今世の私は貴族であるワイズ伯爵家の一員ですが、前世では一市民のしかも病弱で一人ではなにもできない女の子でした。その私を前世の家族たちは愛してくれました。私が平民を見下す貴族派に入ることなど許されません。
「私は人道派に所属します。私は貴族も平民も同じ人だと考えています。そして私はお兄様のお手伝いをしたいです」
お兄様は
「エマならそう言うと思ったよ。私を手伝ってくれ」
「はい!」
お兄様は私を温かく見守ってくれています。ですが私もお兄様や家族たちを手伝いたいのです。私は前世の家族たちも愛していますが、今世の家族たちも愛しているのです。お兄様がそんな私の思いを認めてくれたことに喜びも感じます。
「あの……私も人道派に所属したいです。オリヴァー先輩とエマさんを手伝いたいです」
「コニーも歓迎するよ」
「はい!」
コニーも当然と言うべきか人道派に所属すると申し出ました。この子は平民ですしね。
トビー先輩たちも満面の笑みを浮かべています。
「アシュビーさん。君も貴族たちからちょっかいをかけられるかもしれない。そんな時は遠慮なく僕たち人道派の先輩を頼ってくれ」
「はい! お願いします!」
「僕たちでは力不足の時は、オリヴァーさんが力になってくれるよ。オリヴァーさんは貴族派にも顔が
「ああ。もちろん直接私のところに相談しに来てもいいよ」
「はい! ありがとうございます!」
学院に入学できたということは、コニーは優秀な子なのでしょう。おそらくは
「エマもコニーや他の平民たちにも気を配ってあげてくれ。君の手に余りそうな時は、自分で抱え込まずに私に相談しに来るようにね」
「はい、お兄様!」
お兄様は私にも役割を与えてくれました。平民たちに気を配ってあげてほしいと。お兄様から頼まれたことに、私は喜びを感じています。
ですが私は後ろ暗い思いも抱えています。私も平民たちのために動けば、その平民たちは私のことを記憶に残してくれるのではないかという
そんな打算を考えてしまう自分に
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